最近は電話で用件を済ませることが多くなったとはいえ、例えばお礼やお詫び、挨拶やお知らせ、案内などについては、本来は手紙やハガキを送るのが正式なマナーです。また、電子メールをやり取りする場合でも、手紙の書き方を知っておけば参考になることがあるはずです。 このページでは、手紙の構成[頭語や結語、時候の挨拶(※時候のあいさつ=季節をあらわす言葉のこと。季語と混同されやすいのですが、季語は俳句に使われるものです)、本文のコツ、結びの言葉]などを紹介しています。 |
目次
1.手紙の書き方のマナー |
電話やメールがなかった時代…手紙は相手に気持ちや用件を伝える大切な手段でした。 現在でも基本的なマナーは同じです。相手を安否を気づかう気持ちや、これからの親交をお願いする言葉などを入れます。 ご紹介している内容は手紙でもハガキでも通 用しますので構成だけはひととおり理解しておきましょう。 |
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手紙の書き方 | |
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ポイント | 解説 |
1.タイミングが大事 | |
・お礼やお詫びの手紙は、なるべく早く出します。 ・特にビジネス上での取引先への手紙は、タイミングが大事です。「気持ちは熱いうちに伝える」を心がけてください。 | |
2.相手の安否を気づかう言葉を忘れずに | |
・暑さが厳しい季節、寒さが厳しい季節、そして季節の変わり目には体調をくずしやすいもの。 こんな時期に出す手紙には、相手の健康状態を思いやる言葉を入れましょう。 | |
3.敬語を正しく使う | |
・手紙の中では、通常、相手に対しては尊敬語、自分に対しては謙譲語を使います。 (ただし、親しい間柄の相手に対するものは除きます) | |
4.書き出しの位置に注意を | |
・書き出し位置の高さ、順番などにも決まりがあります。 ・ 例えば便箋の場合、文章の最後に相手の名前を書きますが、最も高い位置から書き出します。これに対し、差出人(自分の名前)は、最も低い位置から書きます。 ・案内状や挨拶状で「私ことこのたび○○することになりました」といった文章を書くときに用いる「私こと」という文言は、必ず行末に書き、続く言葉は次の行の頭にもっていきます。 | |
5.句読点にも配慮を | |
・結婚披露宴の招待状や、会葬礼状では、文中で句読点を用いないのが慣例とされています。 | |
6.目的やテーマに合わせて配慮を | |
・結婚式で披露する手紙や、結婚を祝福する手紙、葬儀・葬式の手紙などでは忌み言葉(縁起を担ぎ、使わない方が良いとされている言葉)があります。 こうした言葉は使わないようにします。 ※忌み言葉>>結婚式の挨拶へ ※忌み言葉>>葬儀の挨拶へ | |
上記に季節感を取り入れるとさらにグレードアップします。 ※それでは、次の項で、手紙の基本構成を見てみましょう。 |
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2. 手紙の基本構成と書き方 |
手紙の書き出しに用いる語、例えば「拝啓」「謹啓」などを頭語(とうご)と言います。 また、手紙の結びに用いる語、例えば「敬具」「敬白」などを結語(けつご)と言います。 |
1. 頭語となる語、「拝啓」などは、一文字下げずに書きます。 |
2. 各段落の書きはじめは、一文字下げて書きます。 |
3. 文中で自分について述べる場合には、行の最後につめて書き出します。続く文章は次の行の先頭から書きはじめます。 |
※下記は上述の3について解説したものですが、ページ作成の都合上、 横書きで例示します[転勤の挨拶状の例] |
…(前文を省略して解説します)お慶び申し上げます。 (自分について述べる場合は行の最後につめる→)さて私こと このたび仙台支店勤務を命じられ、過日着任致しました。在任中は…(以下省略) |
4. 結語となる「敬具」などは、行の一番下から1〜2文字上げて書きます。 |
5. 差出人の名前は、行の一番下のラインに揃えて書きます。 |
6. 日付けは、行の上から1〜2文字下げて書き出します。 |
7. 宛名は、行の一番上から書き出します。 |
↓ 下記に縦書きの手紙の書き方(レイアウト例)をご紹介します。↓ |
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★手紙の基本構成 |
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(4) 後付け | (3) 末文 | (2) 主文 | (1) 前文 |
・日付け ・差出人 ・宛名 | ・結びの挨拶 ・結語 | ・用件(本文) | ・頭語 ・時候の挨拶 ・相手の安否を尋ねる言葉 |
↓↓↓ 【各項目の詳細説明】 |
手紙の構成 [ (1) 前文 ] | |
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1-1.頭語 | |
説明とポイント | 書き方 |
◉頭語とは、手紙を書く時に冒頭に用いられる言葉をさします。例えば「拝啓」「拝復」「謹啓」など。 ◉頭語は、 必ず、決まった結語とペアになっています。例えば「拝啓」で書きはじめる場合は結語 「敬具」で結ぶのが決まりです。 ◉頭語を用いるのが手紙の正式なマナーですが、文章が堅苦しくなるので、親しい相手や子どもにあてた手紙の場合などには、省略しても構いません。 ※頭語についてはこちらのページで詳しく説明してます>>> | ◎頭語を書く時には、手紙の書き出しは一字下げにしません |
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1-2.時候の挨拶 | |
◉頭語のあと、自分の言葉で季節感を述べる。 頭語に 一文字あけて続けて書くか、または改行して次の行の上一文字下げて書く。 ※時候の挨拶についてはこちらのページでもっと詳しく説明しています。>>> ※俳句の季語についてはこちらのページでご紹介しています。>>> |
時候の挨拶の例( 下記を参考に、時候の挨拶は自分の言葉で) | |
1月 | 厳寒の侯 お正月気分も抜けてますます寒さが厳しくなってきました。 松もとれましたが、あいかわらず寒い日が続いています。 |
2月 | 余寒の侯 立春とは名ばかりでまだまだ寒い日が続いております 節分を過ぎましたのに、あいかわらず寒い日が続いています。 |
3月 | 早春の侯 桃の節句を過ぎ、ようやく春めいて参りました。 寒さの中に春の気配を感じる頃となりました。 |
4月 | 陽春の侯 桜の花のたよりが聞かれる頃になりました。 花の色が美しい季節になりました。 |
5月 | 新緑の侯 鯉のぼりが気持ちよさそうに泳いでいます。 新緑の香りがすがすがしい季節になりました。 |
6月 | 梅雨の侯 梅雨に入り、うっとうしい毎日が続いています。 あじさいの色が美しく映えるころとなりました。 |
7月 | 盛夏の侯 暑中お見舞い申し上げます。 降りしきる蝉の声に夏の盛りを感じるころになりました。 |
8月 | 残暑の侯 立秋とは名ばかりの厳しい暑さが続いています。 土用あけの暑さひとしおの侯 |
9月 | 初秋の侯 コスモスが風に揺れ、朝夕はしのぎやすくなって参りました。 燈火親しむ頃となりました。 |
10月 | 秋冷の侯 菊の花が香る季節となりました。 さわやかな秋晴れの日が続いております |
11月 | 晩秋の侯 朝晩はめっきり寒くなって参りました。 庭の草木も日ごとに色づいて参りました。 |
12月 | 初冬の侯 今年もおしつまって参りました。 師走に入り、あわただしい毎日が続いております。 |
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時候の挨拶を ビジネス文書に用いる時の文例 | |
法人あてビジネス文書の冒頭に | 早春の候 貴社におかれましてはますますご清栄のことと心よりお慶び申し上げます |
顧客あてビジネス文書の冒頭に | 新緑の候 山口様におかれましてはますますご健勝の事と心よりお慶び申し上げます。 |
1-3 相手の健康状態や安否を尋ねる | |
説明とポイント | 書き方 |
◉例文「◯◯様におかれましてはお元気でお過ごしのこととお慶び申し上げます」など。 [参考] ビジネスの手紙の場合には「貴社におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます」など。 | ◎先方の安否について述べた後、自分の近況をさらりと述てもよい。 自分の近況報告が主目的となる手紙なら本文として扱う。 |
手紙の構成 [ (2) 主文 ] | |
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2 本文 | |
説明とポイント | 書き方 |
◉用件や(お礼の)気持ちを伝える部分。目的に応じてなるべく具体的に ◉文中に自分や自分の身内が文中に登場する場合は、その行の最後の方に来るようにし、各行の先頭には来ないようにする。 | 用例:たとえば転勤の挨拶状で、 「さて私ことこのたび○○への異動を命じられ過日着任いたしました」のような文章では、「さて私こと」の部分は行の一番下につめて書き、続く文章は改行して次の行の頭から書く。 自分や夫をさすとき小さめの文字を使う場合もある。 |
手紙の構成 [ (3) 末文 ] | |
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3-1 結びの挨拶 | |
説明とポイント | 書き方 |
◉相手の健康を気づかう場合が多い。 ◉あるいは「ご活躍(ご発展)をお祈り申し上げます」なども加える。 | ◎「◯◯様にも宜しくお伝えください」や、「今後ともよろしくお願い申し上げます」といった内容は、3の「本文」の最後にくる。 |
3-2 結語 | |
説明とポイント | 書き方 |
◉結語は、頭語とペアになっている。 例えば頭語が「拝啓」なら、結語は「敬具」 ※結語についてはこちらのページで詳しく説明してます>>> | ◎下から1〜2文字あげた位置に書く |
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手紙の構成 [ (4) 後付 ] | ||||
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説明とポイント | ||||
4-1 日付 (5) | ||||
◉本文よりも少し下げて漢字で書く。 | ||||
4-2 差出人名 (6) | ||||
◉縦書きなら 行の一番下のほうに。 横書きなら 行の一番右のほうに。 ◉妻が夫の名で手紙を書くときは、 右の例のように書きます。 縦書きでは 夫の名の横、 横書きでは 夫の名の下に、 小さく「内」と書く。 | ||||
4-3 相手の名 (7) | ||||
◉本文の高さと合わせる。 ◉便箋の最後の行は一行あまるように 日付や差し出し人名の行を調整する ◉「内」は、氏名より少し左下にずらす。 | ||||
参考 | ||||
◎妻が夫の名で書く時の書き方例: 注〉後付、本文(主文・末文)の前に前文がありますが、下図では省略しています
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3. ハガキと手紙のマナー |
ハガキはあくまでも略式です。正式な場合や目上の人にはなるべく手紙を書きましょう。 |
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はがきと手紙・封筒の使い方とポイント | ||
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point | 書き方の例と解説 | 備考 |
◉お中元やお中元の送り状などはハガキで良い。 | ||
◉送り状では、相手に気を使わせないように、用件をさらりと伝える。 「送ったもの」「到着日」など。 | ◎「ご笑納ください」などはよく使われる言葉。 | |
◉お礼状も正式には手紙で | ||
◉お中元やお歳暮などのお礼状は、ハガキで済ませることも多い。 ※お中元のお礼状については別ページで詳しく御説明しています>>> ◉友人や親戚への一般的なお礼状もハガキでかまわない。 ◉目上の人やお仲人さんなどからの「お見舞い」「お祝い」のお礼の手紙は、手紙で書くのがマナー。 | ◎ハガキは要点だけを述べられる利点があり、気軽に使えるが、あくまでも略式。 |
◉絵ハガキ | ||
書き方の例と解説 | 備考 | |
◉市販の絵葉書でなくても、規格に合った大きさ、重さのものなら絵はがきとして使える。 ◉半分は宛先・宛名を書くスペース、のこりに文章を書く。 | ◎普段は略式とされるハガキだが、旅先の感動を伝えたいときなど、ケースによっては絵はがきはとても効果的。 目的によって使い分けて。 | |
◉封筒 | ||
◉二重になった封筒は、不祝儀ごとには使えない。「不幸がかさなる」の意味がある。 ◉目上の人などに出す手紙では派手な封筒は避ける。 | ◎封筒に手紙を入れ、封をしたら、合わせ目に「〆」と書くのが正式。 ◎最近は忘れられがちだが、 投函日も封筒に書く。 裏面の差出人住所氏名の左上に書き入れる。 |
4.電子メール |
電子メールのマナーには正式な決まりはありませんが、一般的には下記のような場合が多いようです。 |
電子メールの使い方とポイント | ||
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point | 書き方の例と解説 | 備考 |
◉自分のメールアドレスを忘れずに | ||
◉ビジネス上での電子メールのやりとりでは、社名、住所、電話番号などの情報もメールと一緒に送るのが普通。 ◉個人でも、最低限自分の名前またはニックネームのほか、返信の宛先となるメールのアドレスも忘れずに告知をする。 | ◎決まったフォーマットの署名を作っておき、常に自動的にメ ールに挿入されるように設定しておくと便利。 オシャレなものを工夫して。 | |
◉面識のない相手に、相手の了承を得ずに添付ファイルを送信しない | ||
◉ビジネス上でのやりとりでは相手の了承を得ずにいきなり最初に資料を送りつけるのは失礼にあたる。 | ◎初めての相手にはメールを二通に分けて、先方の了承を得る等、別メールで資料を送るとスマート。 | |
参考ページ…[電子メールの書き方とマナー]>>> |
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5.手紙にひと工夫 |
ここでご紹介するのは、親しい相手への手紙にちょっとした工夫を、という提案です。 親しい相手あてであることを前提に、正式な手紙のマナーを離れた内容を紹介しますが、ご利用される方は、先方との間柄を考えた上でご利用下さい。 |
「手紙にひと工夫」する場合の例 | ||
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アイディア内容 | 補足説明 | |
◎可愛い手紙、素敵な手紙(便箋や封筒に工夫) | ||
アイディア内容 | 補足説明 | |
◉例1 テレビで、切手を活かして封筒を素敵にデザインして使っているデザイナーが紹介されていました。 切手を活用した封筒について調べてみると、趣味として実践している方も沢山いらっしゃるようで、ガイドとなる書籍も沢山出ているようです。 | ◎左記でご紹介しているのは、切手をデザインの一部として使う封筒ですが、事務局のおススメは、季節感のある草花が載った切手の活用です。例えば桜の季節には桜の絵柄の切手をピンク色の封筒に貼るととても素敵だと思います。 郵便局のホームページには、草花、名所などのテーマ別 に切手が紹介されています。 | |
◉例2 中高生など若い女の子たちが好んで実践しているのが、便箋の折り方の工夫です。 正式なマナーでの手紙の折り方とは異なりますが、中に書かれているものを早く見たいというワクワク感があります。 | ◎「変わり折り」は、便箋の枚数が多い場合には適しません。そうした便箋を入れた封筒は厚くなりますので郵送する時には注意が必要です。 | |
◎雰囲気抜群(篆刻印)「篆刻=てんこく」 | ||
アイディア内容 | 補足説明 | |
◉絵手紙などには、篆刻印を押すとぐっと雰囲気が増します。 | ◎本来は書、画などに押す篆書体の文字の印鑑を篆刻印と言いますが、味のある文字、雰囲気のあるデザイン文字などで印を作ると良いと思います。消しゴムなどでも気軽に創作できます。 |