なお、合わせて参考情報として3月の季語(きご=俳句に用いる。季節を表す言葉)も紹介します。
目次
1.「3月」の時期について(旧暦と新暦)
現在、日本では新暦(グレゴリオ暦)が使われていますが、季節の挨拶には、旧暦から来るものや二十四節気から来るものがあります。ここでは、現在の3月が旧暦のいつにあたるのか、また二十四節気ではどれが3月に該当するのかについて説明します。
(1)3月とはどんな季節? | |
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・二十四節気では (※二十四節気をすべて見る>>) | 啓蟄(けいちつ)…二十四節気のひとつ。現在の3月6日頃のこと(※その年によって異なる)。 この頃になると冬眠していた虫が地面からはい出して来るとされる。 |
春分(しゅんぶん)…二十四節気のひとつ。現在の3月21日頃のこと(※その年によって異なる)。 この日は昼と夜の長さがほぼ等しいとされる。お彼岸の中日でもある | |
・旧暦では | 新暦2023年の3月1日は…旧暦では2月10日頃となる。 新暦2023年の4月20日が、旧暦では3月1日 |
新暦2024年の3月1日は…旧暦では1月21日頃となる。 新暦2024年の4月09日が、旧暦では3月1日 | |
新暦2025年の3月1日は…旧暦では2月2日頃となる。 新暦2025年の3月29日が、旧暦では3月1日 |
(2)3月にまつわる言葉 |
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弥生(やよい)…陰暦の3月のこと。 |
桃の節句(もものせっく)…3月3日頃のこと。五節句のうちのひとつ。上巳の節句(じょうしのせっく)ともいう。 |
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2.3月の時候の挨拶/季節の挨拶の文例・例文
(「早春の候」などのように、〜の候をつけて使えます)
それでは、手紙やはがきをはじめメール、ビジネス文書などに使える季節の挨拶/時候の挨拶を紹介します。年によって暑さ寒さなどの気候が異なります。地方によっては雪の降り方や残雪の量も異なりますし、 気温も大きく異なります。また、思いがけず花の開花が早い年もあります。その時の季節感、実際の感覚に応じて季節の挨拶を使い分けて下さい。
3月に使う時候の挨拶 | ||
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3月を表わす言葉 | 解説 | 挨拶文 書き出しの文例・例文 |
[はみだし情報] 「弥生に入り陽射しが少し軟らかく感じられます」 | ||
・啓蟄 | ||
解説 | 挨拶文 書き出しの文例・例文 | |
・3月6日頃をさします。 | [個人あての例文] ・拝啓 啓蟄の候 いかがお過ごしでしょうか。 [ビジネス文書では] ・啓蟄の候 貴社におかれましては益々御清祥のこととお慶び申し上げます。 | |
・桃の節句 ・上巳の節句 | ||
解説 | 挨拶文 書き出しの文例・例文 | |
・3月3日をさします。 | [個人あて文例] ・寒さも一段落し、ようやく桃の節句の季節となりました。お変わりなくお過ごしでしょうか。 | |
・早春 ・浅春 | ||
解説 | 挨拶文 書き出しの文例・例文 | |
・2月4日の立春の頃〜3月中旬の頃まで。 ・春の始まりの頃をさします。 | [3月上旬、中旬くらいまでの文例] [個人あて文例] ・拝啓 浅春の候 お変わりなくお過ごしでしょうか。 [ビジネス文書では] ・拝啓 早春の候 皆様におかれましては益々ご清栄の事とお慶び申し上げます。 【手紙に使う場合の結び・結語について】頭語と結語はセットになっています。「拝啓」を用いた場合の結語は「敬具」となります。 親しい間柄の相手に対する手紙で挨拶文の書き出しに[「拝啓」などの頭語を用いない場合には結び・結語も決まった語を用いません。親しい相手への結びの例としては 「取り急ぎ近況報告まで。」 「取り急ぎお知らせまで。」 「取り急ぎお見舞い申し上げます。」 「またお会いしましょう。お元気で。」など |
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3月に使う時候の挨拶(つづき) | ||
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3月を表わす言葉 | 解説 | 挨拶文 書き出しの文例・例文 |
・彼岸 | ||
解説 | 挨拶文 書き出しの文例・例文 | |
・3月21日頃をさします。 | [3月下旬の文例] ・暑さ寒さも彼岸までと申しますが、ようやく春の気配を肌で感じられるようになりました。 ・暑さ寒さも彼岸までと申しますが、今年はことのほか春の訪れが早いようです。 | |
・桃花 ・桃 | ||
解説 | 挨拶文 書き出しの文例・例文 | |
・3月を象徴する花として桃の花が用いられます。 | [個人あて文例] ・桃の花が目に鮮やかな頃となりました。 いかがおすごしでしょうか。 | |
・春めいて | ||
解説 | 挨拶文 書き出しの文例・例文 | |
・春に向かう季節をさします。 | ・ひと雨ごとに春めいてまいりました。 ・陽射しも春めいてまいりました。 ・生け垣を透ける陽ざしが日増しに春めいてまいりました。 | |
・旅立ちの春 | ||
解説 | 挨拶文 書き出しの文例・例文 | |
・卒業式の頃をさします。 | [個人あて文例] ・旅立ちの春を迎え、日に日にあたたかさを感じています。 ・旅立ちの春も、例年になく肌寒い日が続いています。 | |
[はみだし情報] 「もうすぐ新学期。私もダウンからショートコートへと気分一新です。」(上述)
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3月に使う時候の挨拶(つづき) | ||
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3月を表わす言葉 | 解説 | 挨拶文の書き方文例・例文 |
・水ぬるむ ・水温む | ||
解説 | 挨拶文の書き方文例・例文 | |
・啓蟄の頃(3月6日頃)を過ぎてからの時期に用います。 | [個人あて文例] ・水温む季節となりました。お元気でお過ごしでしょうか。 | |
・春雷 | ||
解説 | 挨拶文の書き方文例・例文 | |
・これは俳句の季語から来ています。立春を過ぎてからの雷をさします。 | [個人あて文例] ・遠い春雷が春の訪れを告げています。 | |
・桜の便りが待ち遠しい ・桜の開花が待たれる | ||
解説 | 挨拶文の書き方文例・例文 | |
・桜の開花時期よりも少し早めに用います。 | [3月中旬、3月下旬に] [個人あて文例] ・桜の開花が待たれる頃となりました。 | |
・土筆(つくし) | ||
解説 | 挨拶文の書き方文例・例文 | |
・3月全般に使えます。 | ・土筆がようやく顔を出しました。 | |
[はみだし情報] |
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3.参考情報「季語」について
(「初春の候」などのように、〜の候をつけて使えます)
下記に季語についてご説明いたします。 ちなみに旧暦の3月は、ほぼ新暦の4月にあたり(その年によって少しずつ異なりますが)一年で最も春らしい時期だと言えます。 | |
1. | ・季語とは、俳句の中で、その季節を表わすことばとして用いられるものをさします。俳句を作る際には、必ずもり込むこととされています。季題と呼ばれることもあります。 |
2. | ・季語は1つの俳句に1つだけしか用いません。季語を2つ以上用いることを、季語を重ねる、季重ね、季語重ねなどと言います。 |
3. | ・季語をもりこまない俳句のことを、無季俳句と呼びます。また、川柳のように、世相を風刺的に表わしたり批評したりするものには、季語は不要とされています。 |
4. | 連歌や俳諧でも季の詞(きのことば)、四季の詞という形で用いられることばがあります。 |
※なお、手紙の冒頭部分に用いられる季節の言葉は「時候の挨拶」と言い、季語とは区別されます。 季語の一部を下記に紹介します。 (新暦と旧暦とがありますがどちらも春の季節に該当するため、春の季語の一部を掲載します) なお季語については、別ページでもっと詳しく紹介しています>> |
分類 | 春の季語の例 |
(春の季語ですが3月以外のものも含まれますので注意して下さい。) | |
時候 | 春寒し、木の芽時、春の宵、春深し、弥生、仲春、彼岸、啓蟄、など |
天文 | 春風、春雨、菜種梅雨、蜃気楼、花曇(はなぐもり)、おぼろ月、かすみ、花冷え、余寒、春一番、など |
地理 | 焼山、雪解、春の田、水温む、春の川、春の波、菫野、雪崩、山笑う、残雪、水温む(みずぬ るむ)、など |
人事 | 針供養、卒業、入学、雛遊(ひなあそび)、花見、梅見、雛流し、朝寝、新入社員、潮干狩り、朝寝、野焼き、など |
宗教 | 靖国祭、十三詣り、御水取、義士祭、神武天皇祭、伊勢参、薪能、聖母祭、西行忌、兼好忌、春祭、など |
動物 | 燕(つばめ)、春の駒、蛙(かわず)、鰆(さわら)、蛤、うぐいす、蝶、蜂、ひばり、若鮎、桜貝、たにし、蛇穴を出ず、馬の仔、など |
植物 | 梅、桃の花、桜、椿、ライラック、林檎の花、藤、たんぽぽ、土筆(つくし)、若草、菜の花、よもぎ、草の芽、芽吹く、木の芽、など |
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