お礼の手紙の書き出し》例文・心に響くお礼状の書き出し

 お礼の手紙の書き出し、心に響くお礼状の書き出しを解説します。例えば、実習のお礼状(お礼の手紙)、お世話になった相手へのお礼の手紙、頑張っている人へのお礼の手紙、贈り物のお礼の手紙、お中元・お歳暮などのお礼の手紙、簡単なお礼の手紙などの具体的なケースについて、手紙の書き出しの例文・文例を紹介します。

1.お礼の手紙の書き出しとは(お礼状の構成とポイント)

現代ではお礼を伝える手段としてSNSやメールなどの手段もありますが、目上の相手や、年配の相手、ごく親しい間柄ではない相手、丁寧にお礼をしたい相手の場合などはお礼の手紙を書きます。
 お礼の手紙も基本となる構成は通常の手紙と同じです。季節の挨拶や相手の安否を気づかう気持ち、変わらぬ親交をお願いする言葉などを入れます。
ご紹介している内容は手紙でもハガキでも通用しますので構成だけはひととおり理解しておきましょう。

手紙の書き出しのポイント お礼状の場合

1.相手をよく考える
・手紙を出す相手とあなたとの関係を考えます。
親しい相手なのか、目上の相手なのか、ビジネスの相手なのかを良く考えて書きます。家族ぐるみのお付き合いがある相手であれば、先方のご家族のことも考えます。
2.先方の状況を推し量る

・現在の相手の状況を考えてみます。
お礼状を出す相手が今頃どうしているかを想像します。例えば、多忙、元気・健康、闘病中、よく旅行に行く、活躍している、ゆったり過ごしている、趣味を満喫している、子や孫の世話に追われている、よく勉強している…など。

3.季節を考える
・季節についてふれるのが手紙の書き出しの慣例となっています。

手紙の書き出しと構成

1. 頭語(とうご)

手紙の書き方

・頭語とは、手紙を書く時に冒頭に用いられる言葉をさします。
例えば「拝啓」「拝復」「謹啓」「前略」など。
・頭語は、文末で必ず決まった「結語」とペアになっています。例えば「拝啓」で書きはじめる場合は結語「敬具」で結ぶのが決まりです。
代表的な頭語と結語のペアには以下のようなものがあります。
・頭語を用いるのが手紙の正式なマナーですが、文章が堅苦しくなるので、親しい相手や子どもにあてた手紙の場合などには、省略しても構いません。

頭語と結語の 代表的なペアの例

頭語頭語の意味・
挨拶文としての意味など

結語結語の意味・
挨拶文としての意味など
一般的な手紙
拝啓謹んで申し上げます敬具謹んで申し上げました
丁寧な手紙、目上の相手あての手紙
謹啓謹んで申し上げます
(拝啓よりも敬意が強い)
敬白
または謹言
謹んで申し上げました
(敬意が強いので、目上の人あての手紙や、お礼状などに用いると良い)
略式の手紙
前略冒頭の時候の挨拶を省きます草々急ぎ走り書きをし、申し訳ありません。
このほかに「頭語」と「結語」のペアはこちらのページ>>>

手紙の書き出し 時候の挨拶

2. 時候の挨拶 (じこうのあいさつ)一覧表

冒頭に「頭語」を書き、続いて自分の言葉で季節感を述べます。これを「時候の挨拶」と言います。
頭語のあと一文字あけて続けて書くか、または改行して次の行の上一文字下げて書きます。

時候の挨拶の例 ( 下記を参考に、時候の挨拶は自分の言葉で)

1月厳寒の侯
お正月気分も抜けてますます寒さが厳しくなってきました。
松もとれましたが、あいかわらず寒い日が続いています。
2月余寒の侯
立春とは名ばかりでまだまだ寒い日が続いております
節分を過ぎましたのに、あいかわらず寒い日が続いています。
3月早春の侯
桃の節句を過ぎ、ようやく春めいて参りました。
寒さの中に春の気配を感じる頃となりました。
4月陽春の侯
桜の花のたよりが聞かれる頃になりました。
花の色が美しい季節になりました。
5月新緑の侯
鯉のぼりが気持ちよさそうに泳いでいます。
新緑の香りがすがすがしい季節になりました。
6月梅雨の侯
梅雨に入り、うっとうしい毎日が続いています。
あじさいの色が美しく映えるころとなりました。
7月盛夏の侯
暑中お見舞い申し上げます。
降りしきる蝉の声に夏の盛りを感じるころになりました。
8月残暑の侯
立秋とは名ばかりの厳しい暑さが続いています。
土用あけの暑さひとしおの侯
9月初秋の侯
コスモスが風に揺れ、朝夕はしのぎやすくなって参りました。
燈火親しむ頃となりました。
10月秋冷の侯
菊の花が香る季節となりました。
さわやかな秋晴れの日が続いております
11月晩秋の侯
朝晩はめっきり寒くなって参りました。
庭の草木も日ごとに色づいて参りました。
12月初冬の侯
今年もおしつまって参りました。
師走に入り、あわただしい毎日が続いております。
時候の挨拶についてはこちらのページでもっと詳しく説明しています。>>>
※俳句の季語についてはこちらのページでご紹介しています。>>>

2.お礼の手紙の書き出し例文

お礼の手紙の書き出しの例文をケース別にご紹介します。解説と合わせてご覧ください。

(2-1)実習のお礼状(実習でお世話になったお礼の手紙)(インターンのお礼状)

拝啓 このたびは二週間にわたり◯◯実習の機会を与えて頂きましてありがとうございました。
この例文は実習終了後すぐに出すお礼状を想定しています。
一般的なお礼の手紙であれば、頭語のあとに時候の挨拶(季節の挨拶)の言葉を述べるところですが、昨日まで会っていた相手に「今さら」という感がある季節の挨拶を避けて、すぐに本題に入る書き方を紹介しました。もし少し日数が経過してからお礼状を出す場合であれば、下記文例の方を参照してください。
拝啓 寒露の候 貴社におかれましては益々ご清栄のことと心よりお慶び申し上げます。さて先日はお忙しい中インターン研修の機会を与えて頂きましてありがとうございました。
 この例文は、インターン研修終了後数日が経過してから出すお礼状を想定しています。
 時候の挨拶に続いて書いた「貴社におかれましては益々ご清栄のことと心よりお慶び申し上げます」の一文はビジネスレターの常套句ですが、担当者あてのお礼の手紙であれば「山本様におかれましては…」という形でも良いでしょう。
 ちなみに、ここで使う「清栄」「盛栄」などの語は、商売繁盛を表す「栄」を含み、ビジネスシーンにのみ使うことばです。普通のお礼状、個人あてのプライベートレターであれば「清祥」「健勝」などを用います。

(2-2)お世話になった相手へのお礼の手紙 の書き出し

拝啓 このたびはご多忙中にもかかわらず、大変お世話になりありがとうございました。
お世話になったあとにすぐにお礼の手紙を出す場合には、時候の挨拶を省略します。
拝啓 菊花の候 〇〇様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。先日は大変お世話になり本当にありがとうございました。
一般的なお礼の手紙の書き出しの例文です。時候のあいさつは10月頃を想定しています。
拝啓 銀杏並木が黄金色に輝く季節となりました。◯◯様におかれましてはお変わりなくお過ごしでしょうか。
例えば転勤先から、あるいは転職後、退職後などにお世話になった相手に送るお礼の手紙の書き出し例文です。相手とは数日〜数週間会っていないため頭語に続いて時候の挨拶を述べています。
※参考ページ「時候の挨拶(季節の挨拶語)」>>> 

(2-3)頑張っている人へのお礼の手紙の書き出し(コロナ関連でも使えます)

下記は自分自身がお世話になった相手というよりも、社会貢献している人へのお礼の手紙を想定しています。例えばボランティアの人や、医療従事者へのお礼の手紙を想定しています。
謹啓 初夏の候 皆様におかれましては平素より◯◯に関する医療活動に尽力賜り、心から厚く御礼申し上げます。
個人ではなく、団体や病院、医療機関などを想定しています。
拝啓 ◯◯様におかれましては平素より◯◯に多大なご尽力を賜り厚く御礼申し上げます。
個人あてを想定しています。
前略 初めてお便り差し上げます。大変な思いをされ、頑張っている皆様に一言だけでもお礼を申し上げたくペンをとりました。
頭語が「前略」の場合、結語は「草々」となります。短いメッセージを想定しています。メッセージカードなどに使える文例です。
 

(2-4)贈り物のお礼の手紙 の書き出し

 拝啓 朝夕はめっきり涼しくなってまいりました。◯◯様におかれましてはお元気でご活躍のことと拝察申し上げます。
 さてこのたびは素敵な◯◯をお送り頂きましてありがとうございました。
例えば開業祝いの贈り物のお礼の手紙や、引越し祝いの贈り物のお礼の手紙の書き出し例文です。
拝啓 紫陽花が美しい季節になりました。お元気でお過ごしでしょうか。
長寿祝いのお礼の手紙や、父の日や母の日の贈り物など、一般的な贈り物のお礼の手紙の文例です。

(2-5)お中元・お歳暮のお礼状 書き出し

拝啓 盛夏の候 皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。さてこのたびは…
お中元のお礼状として7月を想定しています。暑中見舞いの書き出しでお礼状を送ることもあります。
※参考ページ「暑中見舞いの書き方と文例」>>>
謹啓 師走の候 ◯◯様におかれましては益々ご清祥のことと心からお慶び申し上げます。
お歳暮のお礼状として12月を想定しています。
 

(2-6)簡単なお礼の手紙(お礼のはがき用文面)

拝啓 初冬の候 ◯◯様におかれましては益々ご清祥の事と心よりお慶び申し上げます。
 このたびは過分なお心遣いをいただきましてありがとうございました。ご厚志誠に有難く、心より御礼申し上げます。早速有り難く拝受いたしました。
 今後も変わらぬご厚誼のほど宜しくお願い申し上げます。
略儀ながら書中にてお礼申し上げます。 ありがとうございました。
敬具 
お礼状全般に使える例文です。
清祥(せいしょう)とは、相手が健やかに暮らしていることを表す言葉です。個人あての手紙に用いられます。
ちなみに、同じようによく使われる言葉で「ご清栄」もありますが、これは企業あてなどビジネス用の手紙で用いられます。
 
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