施設実習のお礼状の書き方と例文》児童養護・障害者施設ほか

 資格や単位の取得のための実習でお世話になった相手にお礼状を出すことがあります。施設実習のお礼状とは学生が資格や単位取得のための実習の後に出すお礼状です。
 ここでは、児童養護施設、障害者施設、介護施設などの福祉施設での実習の後に施設長等にあてて出す「施設実習のお礼状・お礼の手紙」の書き方と例文、宛名・宛先の書き方を紹介します。

1.施設実習とは、主な施設実習と資格・免許

(1-1)【施設実習のお礼状とは】

・施設実習のお礼状とは「大学生・短大生・専門学校生や高校生などの学生・在学中の人がおもに資格取得のために社会福祉施設などの施設で実習をした後に出すお礼状」のことをさします。

(1-2)【おもな施設実習と資格・免許】

主な施設実習の名称主な資格・免許
医療関連施設(全般)介護福祉士・社会福祉士・作業療法士・栄養士
介護施設介護福祉士
介護老人保健施設介護福祉士
高齢者福祉施設(全般)介護士・社会福祉士・栄養士
児童養護施設保育士・社会福祉士
児童発達支援センター保育士
社会福祉協議会社会福祉士
就労移行支援事業所社会福祉士
障害者就労支援施設介護福祉士
障害者施設保育士・介護福祉士
障害者支援施設社会福祉士
身体障害者福祉センター社会福祉士
生活介護事業所社会福祉士
知的生活介護施設介護福祉士
デイサービス介護福祉士
特別養護老人ホーム介護福祉士・社会福祉士
乳児院保育士
母子生活支援施設保育士
有料老人ホーム介護福祉士

(1-3)【お礼状を書く目的】

 実習をさせて頂いたことへのお礼を述べるのが本来の目的ですが、もしもあなたの学校が毎年同じ施設に実習生の受け入れをお願いしている場合には、先輩であるあなた方実習生がきちんとお礼状を出しておくことが後輩たちのためにもなります。 

(1-4)【施設実習のお礼状を書く場合のワンポイント】

1. タイミング
実習終了後すぐに出します。できるだけ終了翌日には投函したいものです。
早ければ早いほど価値がありますが、遅くとも先方の手もとには一週間以内に届くようにします。
2. 内容
忙しい中を時間を割いて実習をさせていたいたこと、指導してくださったことに対するお礼と、実習を通 して得たもの、実習で感じたことをできるだけ具体的に書きます。
3. 注意点
誤字、脱字に注意します。特に先方の施設名や担当者名に誤りがあると非常に失礼にあたります。もしミスを見つけた場合には、修正テープなどを使わず新しい便箋に書き直して下さい。
4. 提出する書類があれば一緒に送る
基本的に提出書類がある場合にはお礼状も一緒に送ります。
一部の施設や病院などでは実習後にレポートや感想の提出を求められることがあります。こうした提出書類がある場合においてその用意のために時間がかかる場合はお礼状だけを先に送ります。

2.児童養護施設実習のお礼状の書き方 文例、例文1

実習のお礼状は、便箋に手書き(黒インクの万年筆またはボールペン)で書きます(万年筆ならブルーブラックでもOK)。
便箋は縦書きが基本ですが、横書きでも問題はないでしょう。

短くても構いませんので手書きをおすすめします。中にはお礼状をワープロで提出する人もいますが、手書きの方が丁寧な印象を受けます。

(2-1)[児童養護施設実習 お礼状の書き方文例・例文 横書きの場合]

◯◯◯◯学園
学園長 ◯◯◯◯様

 謹啓
 (時下ますますご清栄のことと心よりお慶び申し上げます。★1)
 ◯◯大学◯◯学部◯◯学科の見本花子と申します。このたびは◯◯日間にわたり◯◯実習をさせて頂きましてありがとうございました。施設内での何もかもが初めてのことばかりで、少しでも多くのことを経験しよう、吸収しようと思っているうちに、あっという間に実習期間が過ぎてしまいました。
 実際に子どもたちと接してみて感じたことは、子どもたちの年齢に応じた接し方の難しさでした。小さい子どもたちには頻繁に接してあげなければいけないという思いがある一方で、中学生・高校生の子どもたちとの接し方、距離感がわからないことに戸惑うこともありました。
 ただ、そんな中でも子どもたちは私たちの言葉や態度のひとつひとつに敏感に反応し関心を抱いているという実感は持つことができ、この仕事の大切な心得の一つを肌で感じることができました。
 児童養護施設という現場では、子供たちと接すること自体が意味を持つものなのですね。先生たちの姿を見ていると、例えば「手をつないであげる」「声をかける」といった小さなことの積み重ねが大切であり、それらを通して子どもたちの体調や気持ちがわかったり、子どもたちの個性に合わせた対応ができるようになるのだと理解することができました。
 私のめざしている保育士という職業は本当にやりがいのある仕事なのだと改めて感じることができたこと、これが今回の実習で私が得た最大の収穫だと思っています。
 慣れない実習で、いろいろと至らぬ点ばかりで申し訳ございませんでした。園長はじめ他の先生方や職員の皆様には大変温かく指導していただき、心から感謝しています。まずはご指導を頂いた皆様にお礼を申し上げたくお便りいたしました。
 ◯◯様のますますのご活躍と皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
ありがとうございました。
謹白  
令和◯◯年◯◯月◯◯日
   東京都◯◯区◯◯ ◯-◯-◯
◯◯大学◯◯学部◯◯学科
見本花子
[実習のお礼状 補足説明]
★1 上記の例文では、お礼状の宛先が園長あてですが、もし相手と直接会ってから2〜5日後に先方に届く場合には、★1の「時下ますますご清栄のことと心よりお慶び申し上げます」は省略しても構いません。この★1の文章はよく使われる定型文ですが、しばらく会っていない相手に対して使われることが多く、会ったばかりの相手には使いにくい文章です。

なお、宛名は「園長」としていますが、施設長を意味しています。

(2-2)[敬語表現について](貴施設 、貴法人、貴園など)

お礼状の文中では、先方を指す言葉に「貴」をつけて相手に対する尊敬の気持ちを表わします。
「御」をつける表現は、会話の中で用いられることが多いようです。お礼状・手紙の中では「貴」をつけるようにしましょう。

お礼状の相手敬語表現
病院貴院(または貴医院)
団体(NPO法人含む)貴団体、貴法人
各種事務所貴事務所
保険所貴保険所
各種施設(福祉施設、介護施設ほか)貴施設
老人ホーム、支援センター、福祉センター貴施設、貴センター
幼稚園貴園(読み方=きえん)
(または貴幼稚園)
保育所貴施設、貴保育所
学校貴校

3.障害者施設実習のお礼状の書き方 文例・例文(障害者支援施設へのお礼状)

(3-1)[障害者支援施設実習のお礼状の文例・例文]

 
◯◯◯◯園
施設長 ◯◯◯◯様

 謹啓  
 ◯◯大学◯◯学部◯◯学科の見本和樹と申します。◯月◯日から◯月◯日まで◯◯実習でお世話になりました。大変貴重な体験をさせて頂き、本当にありがとうございました。
 振り返れば慣れない実習の中でご迷惑ばかりおかけしてしまいましたが、職員の皆様には◯◯日間にわたりご指導を頂きましたこと、改めてお礼を申し上げます。最初は利用者の方とどう接してよいかわからず、お話しすることもできませんでしたが、2日めからは他の職員の方の姿を見ながら次第に利用者の方とコミュニケーションを取ることができるようになりました。また、実習の途中からは何人かの利用者様とは好きなものや興味があるものなどについて積極的に会話を続けられるようになり、相手の方の個性に合わせたお付き合いが大切なのだと感じることができました。
 食べる、話す、入浴する…といったことが普通にできる幸せを改めて感じながら、利用者さま一人一人の個性に寄り添うことの大切さと難しさ、そして責任の重さを知ることができました。短い期間でしたが、実習を通してこの仕事の大変さとやりがいを感じることができましたことを、心より感謝申し上げます。


 施設長はじめ職員の皆様には温かいご指導を賜りましたこと心より御礼申し上げます。(指導員の◯◯先生にも何卒よろしくお伝えください。★2)
◯◯◯◯園のご発展と皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
本当にありがとうございました。
謹白 
 令和◯◯年◯◯月◯◯日
東京都◯◯区◯◯□−□−□
◯◯大学◯◯学部◯◯学科◯◯専攻
見本和樹
[実習のお礼状 補足説明]
★2 上記の例文では、指導員の先生へのお礼コメントを入れていますが、該当する指導員の先生がいない場合には省略してください。
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4.介護施設実習のお礼状の書き方 文例・例文

(4-1)[高齢者介護施設実習のお礼状の文例・例文]

特別養護老人ホーム
施設長 ◯◯◯◯様

 謹啓  
 ◯◯大学◯◯学部◯◯学科の見本真哉と申します。このたびは◯◯日間にわたり◯◯実習でお世話になり、本当にありがとうございました。
 最初は緊張ばかりで、利用者の方とどう接すればよいのか全くわからず戸惑ってばかりいましたが、職員の方が利用者のひとりひとりに明るく声をかけている様子を見て、まずは真似をするところからはじめてみました。おかげで少しずつ会話ができるようになりました。どの利用者の方も「ここは職員の方が優しく接してくれる」とおっしゃっていましたが、今ではその理由の一つが “ 丁寧な声かけ ” にあるのかもしれないと思うようになりました。

 食事のお世話も、排泄のお世話も、入浴のお世話も実習でひととおり経験していく中で、利用者の方の「要介護状態のレベル」も、要支援状態の方の「今できるレベル」も、おかれた状態はさまざまであることや、現状の能力に応じて可能な限り自立した日常生活を営むことができるように、本当にきめ細かく支援していることを学びました。「できることは、できるだけ自分でやるように。できないことは、自分でできるように支援する。」人としての尊厳を大切にしている点が本当に素晴らしいと思いました。
 
 短い期間でしたが、実習を通してこの仕事の大変さとやりがいを感じることができましたことを改めて感謝申し上げますとともに、施設長はじめ職員の皆様には温かいご指導を賜りましたことを心よりお礼申し上げます。
 本当にありがとうございました。

謹白 
 令和◯◯年◯◯月◯◯日
東京都◯◯区◯◯□−□−□
◯◯大学◯◯学部◯◯学科◯◯専攻
見本真哉

5.施設実習のお礼状を出す際の宛名は?封筒の宛名の書き方

お礼状を出す場合の宛先は、基本的には施設長、園長などとなります。実習をさせていただいた施設へのお礼の気持ちを伝えるものと考えましょう。
実習期間中にお世話になった人や、直接指導していただいた指導員、他の職員のみなさんに対しては施設長や園長からお礼を伝えていただく形となります。

(5-1)[施設実習のお礼状の宛名の書き方]

施設実習のお礼状の宛名の書き方
この見本画像は園長先生あての場合の宛名の書き方です。
まず肩書きを書いてから、氏名を書き、最後に「様」を書きます。
「園長」はそれだけで肩書きとなるため、肩書→氏名→様と書きます。
◯ 園長 見本太朗様

☓ 見本太朗 園長様
肩書きに様をつけるのは誤りです。
(=「所長様」「先生様」という使い方は誤りです)


有料老人ホーム、各種介護施設、児童養護施設、障害者施設、介護施設などの福祉施設で、施設名によっては「園長」という肩書きではない施設長もいらっしゃいます。そんな場合にはこの見本画像のような書き方をします。

(5-2)[縦書きの封筒の場合の差出人名の書き方]

差出し人の氏名は、封筒の中央よりも左側に書くか、または中心線にまたがるように書きます。学校の授業や資格取得の一環として受けた実習の場合には、学校名や学部・専攻名(高校生の場合にはクラス名)を明記します。