始末書と顛末書の違いとは?始末書と顛末書の違いは、始末書が「社内用反省文」であるのに対し、顛末書は「トラブル報告書」です。
始末書は、不始末やミスやトラブルを詫びる反省文的な色あいが濃い文書で社内に対して良く用いられます。それに対して顛末書(てんまつしょ)は、なぜそうなったのかを報告する意味合いが濃く、会社(社内)に対して、問題やトラブルの一部始終を報告するビジネス文書であり、基本的には顛末書も社内あての報告書です。トラブル報告書とも認識されています。
(「始末書」の読み方=しまつしょ、「顛末書」の読み方=てんまつしょ)
1.始末書と顛末書の違いとは?(読み方=しまつしょ、てんまつしょ) |
●始末書(しまつしょ)とは、反省や謝罪の気持ちを表す文書 始末書は一言で言えば「反省文」でしょう。反省文と若干異なる点は「始末」という言葉のとおり、仕事上でミスや不始末、あるいはトラブルが発生したときに、 会社(社内)に対して“問題やトラブルの一部始終”を報告した上で、同時に反省や謝罪・お詫びの意を表わす反省文的な意味合いの文書なのです。 特に始末書は、社内処分を伴うような場合に反省文として多く用いられます(例えば、懲戒、訓告、戒告その他)。 ●顛末書(てんまつしょ)とは、トラブルやミスの一部始終を社内あてに報告するビジネス文書 顛末書は一言で言えば「トラブル報告書」です。 顛末書という名称は基本的には社内あての報告書となります。顛末書の「顛」という字には、てっぺん。先端といった意味があります。「末」はご存じのとおり、最後、はし、すえ、などの意味がありますから、「顛末」 (てんまつ)で、はじめからおわりまでをさします。顛末書は、事態(トラブルやミス)のはじめからおわりまでを報告する書類ということになります。 またその他には(取引先やお客様などの社外あてというよりもむしろ)役所や公的機関などに提出する報告書類の名称にも用いられています(例えば免許証やパスポートなどの再発行を申請する際の「紛失顛末書」など)
[始末書と顛末書どちらが重い?]始末書は反省文、顛末書は報告書、という意味合いからすると特にどちが重いということはありません。ただし提出先が直属の上司あてか、それよりもっと上の上司まで目に触れるのかという違いがあれば顛末書のほうが、より大きなトラブルやミスのケースに適応される可能性があります。 また、もう一つの特徴として「始末書は問題やトラブルを起こした本人が書く」のに対し、顛末書はトラブル報告書という性質上、客観的な立場で書くことが求められるため、問題を起こした本人ではなく、例えばその直属の上司などが書くこともあり、その場合には顛末書が「懲戒として重いとか軽い等」よりも、書き手にとってはむしろ「報告書」の意味合いが一層濃くなります。
[顛末書と始末書の違い]社内用?社外用?一般的にはいずれも社内用です。また、一部の企業では「顛末書」と「始末書」がほとんど区分けなく使われますが、 厳密に言うと、始末書は、不始末やミスやトラブルを詫びる反省文的な色あいが濃く、顛末書は、なぜそうなったのかを報告する意味合いが濃いものになります。 始末書や顛末書は社内向け。では社外向けにはどんな文書を出すの? 取引先や、お客様など「社外」に対するお詫びの書面は、一般的に「詫び状」あるいは「謝罪文」などと呼ばれます。 (※なお、詫び状、謝罪文例については別ページで説明しています>>) |
2.顛末書と始末書の違い 比較表 |
それでは始末書と顛末書の違いを比較してみましょう。
どうしよう、やばい、苦手だなどと思うかもしれませんが、それぞれの書類の性質を理解し、トラブルやミスの再発を防ぐために役立てましょう。 |
顛末書と始末書の違い 比較表 |
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| 始末書 | 顛末書 |
1)社内文書?社外文書? |
| 始末書は、基本的には社内文書 | 顛末書も基本的には社内文書だが、役所や公的機関に提出する文書の中には顛末書という名称がつく書類もある。 |
2)手書き?パソコン作成? |
| 始末書は、原則として反省文であるため、便箋に手書きすることもある。 パソコンで作成することもある。 | 顛末書は基本的にはパソコンで作成する。 |
3)誰が書く?誰が作成する? |
| 始末書は、ミスや不始末をした当人・本人が書く(または作成する)。 | 顛末書は客観的で公平な立場からの視点で書くことが求められるため、必ずしもトラブルの当事者本人でなくても構わない。最も適任と思われる立場の人が作成する。 場合によっては提出時にも、作成者だけでなく関連部署長や責任者の氏名、印を上下等に並べて記載する。 |
4)書式は? |
始末書 | 顛末書 |
始末書は必ずしもビジネス文書の体裁で作成するとは限らない。便箋に手書きするのが正式とされるが、会社によってはパソコンでの作成が認められているケースもある。 便箋に手書きの場合には縦書き。まずは表題を書き、行を変えて本文を。最後に日付と本人の所属部署、氏名を書く。 パソコンで作成する場合にはレイアウトをビジネス文書の体裁にすることもある。 ビジネス文書の体裁とは左上に宛名、右上に日付を書いたのち、中央にタイトル「始末書」、更に右に作成者の所属部署、作成者の氏名を書くもの(ビジネス文書のレイアウトとは右欄の見本画像のような書式)。 |
顛末書はビジネス文書の体裁で作成する。 ビジネス文書の体裁とは、左上に宛名、右上に日付を書いたのち、中央にタイトル「顛末書」、更に右に作成者の所属部署、作成者の氏名を書くもの。 (レイアウトは見本画像のような書式) |
つづく |
顛末書と始末書の違い 比較表(つづき) |
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始末書 | 顛末書 |
5)主な使用シーン。どんな時に使う? |
1会社に金銭的損失を負わせた場合など (1)金銭の紛失、 (2)帳簿の不一致 (3)什器・備品やデータなどの紛失、 (4)物品や機材・什器・建物の破損(器物破損) (5)在庫データ、出荷データ、納品データの不一致 など。 直接的に金銭にかかわるものだけでなく、データなどの間接的なものも含む。 2.社内規定に違反した場合など (1)就業規則、服務規程に違反した場合 (2)社会通念、一般常識にてらして明らかにNGとみなされるものなど。 法律、法規に違反した場合も始末書の提出を求められるケースがある。但し重篤な社会規律違反の場合は、始末書の提出無しで、解雇などの重い処分になることもある。 3.会社の社会的イメージを著しく傷つけた場合など (1)商品の不具合、サービスの不備 (2)顧客や取引先に迷惑をかけた (3)許可無く会社の名前を使用した (4)近隣の住民や、周辺団体への迷惑行為 など。 これも直接的なものだけでなく、損害賠償などの間接的なものも含む。 | ・商品やサービスに不備、不具合があった場合 ・事務処理や手続き上のミスがあった場合 ・事故や不祥事があった場合 |
6)記載する内容は? |
始末書 | 顛末書 |
始末書は、二度と同じ過ちは繰り返さないという反省文・謝罪文。 トラブルやミスの内容と、原因、対策を示す文章を必ず入れる。 | 顛末書は問題やトラブルの一部始終を報告するための文書。トラブル報告書。 (1)いつ、どこで、どのようなことがおこったのか (2)被害や損害の程度はどのくらいか (3)現状の対応はどうなっているか (4)今後の対策はどうするのか (5)担当者としての意見 などを記載して提出。
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| 始末書 | 顛末書 |
7)提出のしかた |
| 始末書は正式には封筒に入れて提出する。 封筒は白無地の二重封筒。宛名は不要で、正面中央に「始末書」と黒字(筆またはペン)で書く。 封筒の裏面には所属部署と氏名を書く。 | 顛末書の提出の際は封筒は不要。ただし公的機関に提出する特殊な顛末書の場合にはその指示に従う。 |
8)いつ提出する? |
| 始末書は、不始末やミスやトラブルがわかったらすぐに、あるいは、処分が下されたらすぐに、なるべく早く提出する。 但し、事態が終息してから提出するのが原則でありため、もし、不具合や欠陥などにより継続した調査が必要な場合には、まずは迅速な報告を心掛け、始末書はあとにまわすことになる。 いずれにしてもできるだけ早く上司に申告、報告、および謝罪をし、改めて書面でお詫びの気持ちを述べるのが良い。 | 顛末書は、事故やトラブルがわかったらすぐに、あるいは、対応を終えたらすぐに、なるべく早く提出する。 但し「顛末」という言葉のとおり、ある程度事態が終息してから提出するのが原則であり、もし、何らかの継続した調査が必要な場合には、まずは別の形での迅速な報告を心掛け、顛末書はあとにまわすことになる。 いずれにしてもできるだけ早く上司に申告、報告をし、全社的に再発防止と改善に努めることが重要。 |
9)その他 |
| 始末書をパソコンで作成することを認める会社も増えてきているが、氏名の部分だけは手書き・自著としたい。 | 顛末書は報告書なので、データや図面、画像などの添付資料、書類などを一緒に提出することが多い。 |
【はみだし知識】 経緯書…いわゆる経緯報告書とも呼ばれるもので、物事がそこに至るプロセスを説明するために提出する書類のことをさします。具体的に用いられる例としては、 ・保険金請求経緯書(→保険会社に対し、被保険者が保険金請求に至る経緯を書いて提出するもの) ・入国経緯書(→入国管理局に対し、結婚等の、入国するに至った経緯を書いて提出するもの) ・経緯書(→ 証券取引所に対し、情報開示が不十分な場合に、なぜそうなったかについての経緯および改善策を提出するもの) などをさします。 こうした経緯書は、「企業において不祥事やトラブルの一部始終を報告する書類である顛末書」とは異なり、不祥事やトラブル以外のケースにも用いられます。 |