地鎮祭とは土木工事や建物の建設工事の際に、工事の無事と家・建物の繁栄を土地の神様に祈願する儀式です。地鎮祭に必要なものは祭壇、しめ縄、榊、三方、お供え物(お米、お酒、塩、水)、半紙、お金(神社への謝礼の初穂料や玉串料)などです。直会の準備や挨拶の品も必要な場合があります。 地鎮祭に必要なものと費用を解説します。 |
目次
1. 地鎮祭に必要なものは?(地鎮祭の準備) |
地鎮祭に必要なものを大きく分けると「神事に必要なもの」(祭壇の設営に使用するものや、お供えしたり飾り付けたりするもの、神社への謝礼)と、「神事のあとで必要なもの」の2つに大きく分けることができます。 |
地鎮祭に準備するもの |
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地鎮祭を執り行う場合には、大きく分けると以下の準備が必要となります。 神事の規模については略式で行うこともできますので、施工会社や神社と相談しましょう。 |
A.会場設営に必要なもの |
1)紅白幕、青白幕 浅葱色とは葱藍で染めた薄い藍色のことです。青よりも緑がかっており、新撰組が羽織に使用した色とされます。歌舞伎でも浅葱幕という幕が用いられますがこれは青と白ではなく青一色のもので場面転換を表す際などに用いられます。 |
B.地鎮祭の神事に必要なもの |
B-1)祭壇 ・祭壇は施工会社に準備してもらう形が多いようですが、どうしても困ったときには神社に問い合わせると良いでしょう。祭壇、しめ縄 解説>> B-2)お供え物の準備 ・祭壇にお供えする物は施主が用意します。神酒神饌 解説>> B-3)半紙の準備 ・施主が半紙1帖(20枚)を用意します。お供え物、紙垂 解説>> B-4)お金の準備 ・神社・神職に支払う謝礼(表書きは「御初穂料」「御玉串料」など) ・神職に渡すお車代 ・施工会社に支払う謝礼(祭壇の準備等の費用も含む)解説>>> |
C.地鎮祭のあとに必要なもの |
C-5)直会の準備 ・お神酒を頂く場合の紙コップや、紙皿、湯呑など。解説>>> C-6)挨拶の品の準備 ・地鎮祭のあと、「騒音や工事車両の出入りでご迷惑をおかけします」と施主はご近所にご挨拶をしてまわります。このときに持参する挨拶の品は施主が用意します。 ・上記とは別に、例えば企業のビルや公共建築物を建てる際には地鎮祭に出席した来賓へのお土産品としてご挨拶の品を用意するケースがありますが、これらは「絶対に必要なもの」ではありません。解説>>> |
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地鎮祭の神事に必要なもの(解説) |
B-1)祭壇 |
祭壇の飾り方には決まりがあります。 祭壇の手配は施工業者に依頼すると良いでしょう。 榊は施主が用意します。(この見本画像では祭壇が紅白幕の前に飾られています。個人の自宅の場合の飾り方の参考例としては、紅白幕を使わない例も紹介しています>>>) ※祭壇にはお供えを飾りますが、その際に盛り付けする三方や祭壇は、神社で借りられる場合もあります。(祭壇と同様に施工業者が持っている場合もあります。) ※地鎮祭の祭壇についても、もし施工業者が持っていない場合には神社に電話してみて下さい、相談に乗ってくれます。 ・祭壇、しめ縄(注連縄)施工会社が用意(しめ縄については下記)・榊施主が用意。花屋さんで買えます。・三方など施工会社または神社が用意(三方はお供え物などを乗せる台です。詳細は下記) |
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地鎮祭に必要なもの(つづき) |
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B-2)お供え物 |
必要なお供え物は施主が用意します。お供え物は神酒神饌と呼ばれます。(読み方=しんしゅしんせん…米、酒、水、塩) ・お米(一合) ・お供物…3つの幸(海の幸、山の幸、野の幸) 神酒神饌のお供え物やお供物は、祭壇上にそのまま置くのではなく、瓶子(へいし)や水玉(みずたま)に入れたりして三方(三宝とも言う)の上に置きます。詳細は下記 ・瓶子(へいし) >>> ・水玉(みずたま)水器(すいき)>>> ・三宝、三方(さんぽう)>>> |
お供え物を入れるときや乗せるときに 必要なもの |
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・神酒神饌…米、酒、水、塩を乗せる、入れる |
下記の器や台は、通常は祭壇などと一緒に工務店、施工業者から借りることができますが自分で購入しても構いません。もし新しい神具を買えば、これから建てる建物に神棚を設置する場合には、新設する神棚でこれらの神具を使うことができます。なお、事務局で調べたところ、以下の神具はネット通販でも手に入るようです。 |
酒は瓶子(へいし)に入れる画像の容器は瓶子という神具で、神様にお酒(お神酒=おみき)をお供えするための容器です。瓶子(読み方=「へいし」「へいじ」とも読む)と呼ばれ二本一組がセットになっています。地鎮祭では祭壇の上段の神様に近い方にお供えします。 瓶子でお供えするお酒とは別に、奉献酒をお供えすることがあります。地鎮祭の酒>>> |
水は水玉(みずたま)・水器(すいき)に入れる画像の容器は水玉、水器という神具で神様にお水(神水)をお供えするための容器です。一般的にはこのような形のもので、水玉(読み方=「みずたま」)あるいは水器(読み方=「すいき」)と呼ばれます。中に入れる水は、水道水、ミネラルウォーター、神社から頂いてきた水など、いずれでも構いません。水を入れて蓋をして飾ります。 |
米、塩は土器(かわらけ)に盛る米や塩を盛る容器は土器(この場合の読み方は「どき」ではなく「かわらけ」)と呼ばれるものです。土器(かわらけ)は、平皿のような容器です。通常は小ぶりなものを用いますが、祭壇の大きさに合わせて各種サイズがあります。直径1.5寸(4.5cm)〜1尺(30cm)のサイズがあり、三宝とのバランスを考えて大きさを決めます。 米、塩とも上記の同じサイズの「かわらけ」に盛ることもありますが、米を高盃・高坏に盛り、塩を平らなかわらけに盛ることもあります。高盃・高坏・高杯(いずれも読み方=たかつき)は、平皿の土器(かわらけ)に足がついたものです。 |
お供えやお供物は三方・三宝に乗せる瓶子、水玉、土器は祭壇にそのまま置くのではなく、三方(さんぽう)という台の上に乗せて、祭壇に飾ります。三方とは右の画像のようなもので、台座部分の正面と左右に穴があいていることから、三方と呼ばれます。 穴が開いていない面を神様の方向に向けます。 ふつうは、三方も工務店、施工業者で持っている事が多いのですが、無い場合には神社に相談するか、神仏具店などでも購入できます。 祭壇のサイズや土器、瓶子のサイズに合わせて、以下のような飾り方があります。 (1)ひとつの三方の上に酒、米、水、塩すべてを乗せる神棚などでも見られる最も一般的な飾り方ですが、容器のサイズが大きければひとつの三方の上に乗せることはできません。その場合は下記(2)となります。天板に乗せる際には、背の高いものを後方に乗せるのが基本となります。三方の上の天板(折敷)の一番後方に、対になる酒の瓶子(へいし)を左右バランス良く2本乗せます。 土器(かわらけ)が2つとも足のないタイプであれば、一番手前(前方)に左右バランス良く土器を並べ、塩、米を盛ります(左右のどちらが塩でも可)。天板(折敷)の中央には水玉を置きます。 もし土器の片方が高坏であれば、三方の天板の中央には高坏に盛った米を置きます。手前には左に水玉、右に土器に盛った塩となります。 (2)4つの三方にそれぞれ米のみ、水のみ、酒のみ、塩のみを別々に乗せる瓶子や土器が大きい場合の飾り方です。地鎮祭では米や塩を一合ずつ祭壇にお供えするため、通常の土器よりも大きいものが多く、その場合には一つの三方に一つずつ、お供え物を乗せます。ただし、お酒の瓶子は二本を一対でひとつの三方に乗せることもあります。(3)3つの三方に、米と塩、水のみ、酒のみを乗せるこれも瓶子や土器が大きい場合の飾り方です。特に米を高坏・高杯(足があるタイプに盛り、塩を平たい土器に乗せる場合には、三方を3つ用意し、米と塩だけは同じ三方に乗せ、お酒の瓶子は二本一緒に、水の水玉は単独でそれぞれ 三方に乗せます。 |
・三つの幸[海の幸、山の幸、野の幸] |
3つの幸とは、海の幸、山の幸、野の幸をさします。これらは祭壇にそのまま置くのではなく、三方の上に半紙を敷き、その上に海の幸、山の幸、野の幸の野菜や果物などを置きます。 ここで使う半紙とは、習字のときにも使われる和紙で文具店などでも手に入ります。 |
・その他 一升瓶などの奉献酒をお供えすることがありますが、これは上記とは別に、祭壇の手前の方にお供えすればよいでしょう。 |
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地鎮祭に必要なもの(つづき) |
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B-3)半紙 |
・半紙は事務用品店で販売しています。通常100円〜500円程度です。施主が用意します。 |
B-4)お金 |
当日必要となるお金は以下のとおり。 神社への謝礼・施主は、神職への謝礼(神社へのお礼)のお金を用意します。神社に支払う謝礼を初穂料、玉串料などと言います。・紅白の蝶結びののし袋に謝礼を入れます。「御初穂料」「御玉串料」「御神饌料」「御礼」などの表書きも使われます。下段は個人の場合は施主の姓、法人の場合は施主の社名を書きます。 ・個人で用意する場合の初穂料の金額の相場は2〜5万円です。 あらかじめ金額が決められている神社もあります。地鎮祭を予約する際に神社(社務所)に「地鎮祭の祈祷の初穂料の金額」として確認をすると良いでしょう。 神職に渡すお車代・神職が自分の車やバイクで来られる場合には、白い封筒に入れてお車代を渡します。金額の目安は5,000円〜10,000円くらい。施工会社に支払う謝礼(祭壇の準備等の費用も含む)・祭壇その他の準備は施工業者に一任することが多いようです。1万円〜5万円くらい。テントなどを設営してもらうと更に金額が上がります。 個人の自宅の地鎮祭の場合、一式を神社で借りる方が安くあがることもあります。 この他に、当日棟梁、大工、職人、現場監督、作業員の方にご祝儀を渡すことがありますが、これは必須ではありません。 |
地鎮祭に必要なもの つづき |
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C-5)直会の準備 |
お神酒をいただくための紙コップや湯呑お神酒やお供えを参列者全員でいただく儀式を直会(なおらい)と言います。地鎮祭の中で神様への祈りを終えたら、神様にお供えしたお神酒を参列者で頂きます。また、お供え物のお下がりを頂く場合には、紙皿なども用意します。 |
C-6)ご挨拶品 |
ご近所への挨拶の品地鎮祭を終えたら、施主は菓子折りなどを用意し、ご近所の方に挨拶をして回るのが望ましいでしょう。「これから工事に入ります。工事の騒音や工事車両の出入りなどでご迷惑をおかけすることがあるかも知れませんが、何卒よろしくお願いします」などときちんとご挨拶を済ませます。紅白の蝶結びののしで「ご挨拶」「御挨拶」「ごあいさつ」などの表書きです。 |
来賓にお持ち帰り頂く品会社の自社ビルや商業施設などの地鎮祭の場合、施主である企業が来賓にお持ち帰り頂く品を用意することがあります。紅白の蝶結びののしで「御祝」などの表書きです。※個人宅の地鎮祭ではこのような品は必要ありません。また、会社の場合もこの品は必須ではありません。 |
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2.地鎮祭の費用は? |
地鎮祭に必要な費用は大きく分けると以下の通り |
地鎮祭の費用 一覧(金額相場) |
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神社、建設会社・工務店に支払う地鎮祭トータルの費用は? |
地鎮祭に必要な費用は神社、建設会社・工務店トータルで、50,000円〜120,000円程度です。 これ以外に、細かいお礼の品や作業員へのご祝儀、ご挨拶の品などを用意する場合にはその費用と、お供え代が実費として必要になります。それぞれの内訳を見てみましょう。 |
神社へのお礼、謝礼は? |
(1)神社・神主・神職への謝礼 |
個人が自宅の地鎮祭で用意する初穂料のめやすは20,000円〜50,000円です。神社によっては金額が決まっているケースも有り、予約時に神社に「地鎮祭の祈祷(きとう)をお願いする場合の初穂料は?」と確認すると良いでしょう。 |
(2)神主・神職のお車代 |
施主が手配したタクシーでお越し頂く場合には実費をお支払いすることもありますが、通常は、5,000円、10,000円、20,000円といったきりのよい金額を封筒に入れ「お車代」として渡します。 |
建設会社、工務店へのお礼、謝礼は? |
(3)建設会社への謝礼・工務店へのお礼 |
地鎮祭一式または、祭壇設置費用、テント設営費等の名目で工務店や建設会社から見積もりや請求書を出してもらうことができます。金額のめやすは20,000円〜50,000円程度です。 これら祭壇の費用とは別に、手配や設営をしてもらったこと(手間をかけた。手数をかけたこと)についての謝礼を渡す場合は「御礼」の形で用意します。10,000円〜30,000円ほどがめやすです。 |
(4)棟梁、職人、現場監督、作業員へのご祝儀 |
※このご祝儀は必須ではありません。人数にもよりますが、一人あたり@3,000円程度〜。責任者には@5,000円程度〜です。 |
お供え物は? |
(5)祭壇へのお供え物 |
お米やお酒などのお供えものは施主が用意します。実費が必要です。 |
ご挨拶品は? |
(6)ご近所への挨拶の品 |
一軒あたり@1,000円〜@5,000円。お配りする家の数分を用意します。菓子、洗剤、食品用ラップなどが人気です。 |
(7)来賓にお持ち帰り頂く品 |
会社が主催する地鎮祭などで用意することがあります。来賓お一人あたり@3,000円〜。お持ち帰り頂く人数分を用意します。菓子などが人気です。 |
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