結納とは、結婚が決まった両家の縁組みの儀式です。基本的には新郎の家から新婦の家へ、婚礼の用意(衣装、嫁入り道具など)のための費用や贈り物を贈るのがならわしとなっており、新婦の側からは結納返しを渡します。結納という儀式自体は、もともとは仲人をたてて行なわれるものでしたが、最近は仲人をたてず、両家の両親と、新郎新婦だけで行なわれる結納も多くなっています。 このページでは結納の準備のしかたや費用の目安、儀式の流れなどについてご説明します。 |
4.結納品一式 |
結納品の種類、数、飾り方には地方によりさまざまな習慣があります。本人たちを含め、両家でよく相談して決めましょう。 以下に、参考例として目録の書き方をご紹介します。 それぞれの結納品の読み方もご覧下さい。 [結納品の意味とは]結納の儀式に用いる結納品には縁起の良い文字をあて、両家の繁栄や新郎新婦の幸せな結婚生活(食べ物やお金に困らないようになど)、長寿、子宝に恵まれるように祈る意味があります。 |
↓[関東]↓ |
↓[関西]↓ |
目録の書き方、結納品 |
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参考 |
●結納品の数 |
ポイント |
●7品を中心に5品、または9品という具合に奇数の組み合わせで用意する。 ●主として関西と関東では縁起の品 の大きさや飾り方などが異なる。 |
参考 |
●地方により結納品の数、名称、飾り方が異なる。例えば関西では各品目が別々の高台に飾られるが、関東では結納品すべてが一つの台に載せて飾られる事が多い。 ● 地方によってしきたりが異なるので、男性と女性の出身地が離れている場合は、本人たちを中心にし、両家で相 談する。一般的に男性側が用意するために、男性の住まいの地域の風習を優先するケースが多いが、東西間で「結納飾り」自体の価格もかなり異なるため、良く相談して決めると良い。 ●デパートや結婚式場の他、インターネット上の専門店などでセットで売っている。 |
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●結納品 |
ポイント |
●例えば、以下の7品。 ・目録(もくろく) ・長熨斗(ながのし) ・金宝包(おたからつつみ) ・寿留女(するめ) ・子生婦(こんぶ) ・友志良賀(ともしらが) ・末広(すえひろ) ●上記に以下を加えて9品。 ・勝男節(かつおぶし) ・家内喜多留(やなぎだる) ※補足 ・金宝包(おたからづつみ、きんぽうづつみ、とも読む) ・友志良賀(「友白髪」とも書く) ・末広(「末廣」とも書く) ●最近は、結納品の代りに 結納金のみ、 あるいは結納金と指輪のみ、 あるいは指輪やネクタイピンなどの記念品の交換のみ で済ませる場合もある。 ●結納時に「家族書」(三親等くらいまでの親族の名を記したもの)を取り交わす場合もある。 |
備考 |
●仲人が目録を読み上げ、「幾久しくお納めください」と述べると、 女性側が「幾久しくお受けいたし ます」と述べる。 ● 女性側から「結納返し」(お返しの品やお金)が あるときは仲人がこの目録を読み上げ、「幾久しくお納めください」と述べると、 男性性側が「幾久しくお受けいたし ます」と受ける。 ●以前は、結納返しは半返し〜1/3返しとされていたが、最近は結納返し無し、あるいは1割程度を返すというケースも増えて来た。地方によっても異なる。 ※結納返し無しとは?…両家で相談し、結納返しを「無し」にする場合もある。結納金で、嫁入り道具を揃えて下さいという主旨に従ったもの。こうした場合は記念品の交換という形で指輪と腕時計などを交換することも。 ※参考ページ…結納金(渡し方、包み方、相場) |
※目録の書き方・作り方へ>>> |
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5.結納の儀式の流れ |
結納飾りは男性側が飾ります。当日あわてないように、前日の夜には、結納品の飾り方をおさらいしておきましょう。 床の間のすぐ前の畳の上に毛氈(もうせん)を敷き、その上に飾ります。 上の項で述べたように、関東式よりも関西式の結納品は場所をとります。会場が狭い場合には床の間に飾りましょう。 毛氈は結納品店や百貨店などで購入でき、1500円〜5000円くらいです(お手頃な価格です)。 |
結納の儀式 当日の流れ | |
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玄関で | |
流れとポイント | 参考 |
●女性側は全員で玄関で男性側をお迎えします。 女性の父が 「お早うございます。本日は御苦労様でございます。どうぞお上がりください。」「こちらの部屋へどうぞ」 などとご挨拶の上、部屋に案内をします。 男性側は、 仲人→男性の父→男性の母→男性本人の順で玄関を上がります。 | ●結納の儀式は、決まった口上以外はほとんど口をきかないのが本来のならわしだそうです。玄関口では、女性の母、女性本人は、おじぎしてお迎えします。 ●仲人なしの場合は、 男性の父→男性の母→男性本人の順で玄関を上がります。 |
飾り付け | |
流れとポイント | 参考 |
●玄関を上がったら、仲人、男性の父、男性の母は手に扇子を持ち、男性本人は手土産と結納品を持ちます。会場に入ったところで一礼し、男性の父が「本日は床の間をお借りいたします。」と述べます。 ●仲人、男性の両親、男性本人が、結納の飾り付けをします。この作業は無言で行ないます。 ●用意ができたら、 仲人が女性側に声をかけます。 | ●女性側は、一旦、控えの間にひきます。 ●仲人無しの場合は、男性の両親と男性本人が結納の飾り付けをします。この作業は無言で行ないます。 ●仲人無しの場合は、用意ができたら男性の父が女性側に声をかけます。 |
当日の席順 | ||||||||||||||||||||||||||||
流れとポイント | ||||||||||||||||||||||||||||
[女性宅での結納] ●上座(床の間に最も近い場所)には、男性側の父、男性側の母、男性の順で座る。 手前側には、奥から女性側の父、女性側の母、本人の順で座ります。 ●座ぶとんは使用せず、各自のひざの前に扇子を置きます。 ●仲人なしの場合も席順も同じです。 [結納の席順]
[ホテル等での結納] ●基本的には、男性側が上座に、女性側が下座に座りますので、上の図と同様となります。但し、会場が床の間の無い個室の場合で、結納品に背を向ける必要の無い会場なら、仲人は最初から上座に座ります。 | ||||||||||||||||||||||||||||
参考 | ||||||||||||||||||||||||||||
●仲人は 結納の儀式が終了してから、祝い膳を囲む際に、上座側に移動していただきます。 ●もし、祝い膳の席を設けない場合は、儀式終了後、お礼を述べ、謝礼として手土産、ご祝儀、お車代をお渡しします。 (手土産や謝礼の詳細はこの項の下の方で述べています) [結納後に祝い膳を囲む際の席順]
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結納の儀式の流れ(つづき) |
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結納の儀 |
流れとポイント |
●仲人が口上を述べます。決まった言い回しがありますが、無理に決まり通 りに言う必要はありません。メモを見ながらでも構いません。参考までに下記に口上(挨拶)の例を書きます。 ・仲人 一礼する。そのあと一同礼。 .仲人「本日はお日柄も良く、この度は○○家御子息○○様と○○家ご息女○○様のご良縁が相ととのいまして、まことにおめでたく心よりお祝い申し上げます。未熟ではございますが、私がご両家のご良縁の仲立ちをさせて頂きます。」 ・男性の父が仲人に目録を渡す (目録は広蓋(ひろぶた)に載せて差し出すのが正式な形です。広蓋は結納品店、百貨店などで購入できます) ・仲人「ご婚約の印として、○○家からの結納の品を持参致しました。いく久しくお納め下さい」 ・仲人は、仲人女性に目録を渡し、仲人女性が女性の父に目録を渡す ・女性の父は目録の内容を確認し、女性の母、女性本人の順で回覧する ・女性の父が お礼の口上を述べる 「大変結構な品々をありがとうございます。いく久しくお受けします。」 ・女性一同礼。 ・女性の父は「こちらが結納の受け書でございます」と述べ、仲人女性に受け書を渡します。 ・仲人女性は、仲人に受け書を渡します。 ・仲人は、「○○様からの結納の受け書でございます。どうぞお改め下さい」と、男性父に受け書を渡します。 ・男性の父は内容を確認し、「相違ございません」と述べます。 ・仲人は「これで滞り無く両家のご縁組みが整いました。おめでとうございます。」などと述べます。 ・男性の父「お仲人様(○○様)まことにありがとうございました。○○様(女性の家に対して)幾久しくよろしくお願い申し上げます。 ・女性の父「こちらこそ、幾久しくよろしくお願い致します」 ・一同礼。 |
参考 |
●仲人無しの場合は、男性の父親が口上を述べます。 「この度は○○と○○さんの結婚をお許し頂きまして、まことにありがとうございました。 本日はお日柄も良いので、結納の品を持参いたしました。いく久しくお納めください」 ↓ ●男性の父は女性の父に目録を渡します。女性の父、女性の母、女性本人の順で回覧します。 ↓ ●女性の父がお礼の口上を述べます。 「大変結構な品々をありがとうございます。いく久しくお受けします。」 (これ以降の進行は、仲人がいる場合と同様となります) [受け書について] ●女性側が男性側に渡す受け書は、結納品を列挙するため、男性側が用意する方がスムーズに式が運びます。 最もスムーズに式を進行させるためには、男性側が用意した受け書を結納前日までに女性に渡しますが、当日結納品と一緒に持参し、目録と共に女性の父に手渡して内容を確認してもらうという手もあります。 ●結納の内容が全くわからずに、女性側で受け書を用意する場合には、結納の品名を列挙する代わりに「御目録のとおり幾久敷御受納致しました」等と書きます。 |
結納が終わったら |
流れとポイント |
● 結納の儀式が一旦終了したら、新郎新婦から仲人にお礼を述べます。 「本日はお忙しい中を、私たちのためにご足労を賜りましてありがとうございました。未熟な私たちですがこれからもご指導の程よろしくお願い申し上げます。」 ● 一同で祝いの膳を囲む場合は、このあと、女性の父が「それではささやかですがお祝いの席をご用意しておりますので」と述べ、仲人に上座に移動していただきます。座ぶとんをすすめ、女性と女性の母は食事の用意をします。 ● すべてが終了してから、仲人に謝礼と引出物(手土産)をお渡しします。 引出物(手土産)は女性側が用意し、仲人だけでなく男性側にも差し上げます。 |
参考 |
●当日手渡す手土産や、仲人への謝礼を用意しておきましょう。 ●女性の自宅で結納を行なう場合は、儀式が終わったあとで男性の両親に(仲人が同席する場合は仲人にも)持ち帰って頂く引出物を用意します。 いずれの場合も、 のしは紅白の結び切りで、上段は「寿」下段に姓を書きます。 ●ホテルで結納を行なう場合には、最近は「結納パック」のようなサービスプランもあります。両家および仲人への引出物もプランに入っている場合もあるので、予約の際に良く確認しましょう。 ●仲人への謝礼は、両家それぞれが「寿」の熨斗袋を、そして、女性側は「お車代」も含めた2つを用意します。のしの水引きは結び切りを用います。 お車代は仲人宅から結納会場までの交通費プラスアルファで、キリの良い額を。 寿の熨斗袋の方は、ご祝儀として結納金の1〜2割を包みます。 結納後、祝い膳を囲まない場合は、女性側が仲人に「酒肴料」も別途お渡しします。 |
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6.結納返し |
結納をいただいたお返しを女性側が用意します。 本来は、結納が済んでから、挙式までにお渡しするものでしたが、最近は、結納返しを結納当日にお渡しするケースも増えてきました。荷送りの際に結納返しをお渡しするというケースもあります。 ●結納金は、結納の時の目録では「帯料」「帯地料」「小袖料」「宝金」などと表記されますが、結納返しは「御袴料」などと表記します。現金でお返しするほか、品物の場合もあります。 ●以前は、結納返しは半返し〜1/3返しが相場でしたが、最近は結納返し無し、あるいは1割程度を返すというケースも増えて来ました。地方によっても大きく異なります。 ※結納返し無しとは?…両家で相談し、結納返しを「無し」にする場合もあります。結納金で、嫁入り道具を揃えて下さいという主旨に従ったものです。こうした場合は記念品の交換という形で指輪と腕時計などを交換することもあります。 |
結納返し |
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結納返しの品物 | |
ポイント | 参考 |
●正式にする場合は、結納品と対応する品を用意します。目録も同様に用意します。 ・目録 ・熨斗 ・袴料 ・子生婦(こんぶ) ・寿留女(するめ) ・友白髪 ・末広 ・家内喜多留 | ●略式の場合、以下の3品だけでもOKです。 ・熨斗 ・袴料 ・末広 ●結納金は、男性側から渡される結納の目録では「帯料」「帯地料」「小袖料」「宝金」などと表記されますが、女性が渡す結納返しでは、「御袴料」などと表記します。 |
● 結納当日に 結納返しを 行なう場合 | |
ポイント | 参考 |
●結納の儀式の中で、女性側の父が結納品の受け書を渡すときに、同時に「結納返し」の目録も渡す。 ・女性の父「こちらが結納品の受け書でございます。そしてこれが結納返しの品の目録でございます」 | ●結納返しの目録を渡された男性側も、結納の儀式の中で 内容を確認するが、結納返しに関しては「受け書」は不要です。 |
●日を改めて 結納返しを行なう 場合 | |
ポイント | 参考 |
●結納とは別の日に、女性側が男性宅に持参します。 | ●おもに西日本では、これが正式な方法とされています。 |
●荷送りの時に 結納返しを行なう場合 | |
ポイント | 参考 |
●新居へ嫁入り道具を搬入する際に、結納返しを行なう場合もあります。 | ●嫁入り道具の目録と一緒に、結納返しの目録も男性側に渡します。 |
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