顛末書の書き方 社内》例文・作成ポイントや注意点など解説

顛末書とは、仕事上でミスや不始末、不祥事、問題やトラブルが発生したときに、会社・社内に対してその一部始終を報告するための文書です。いわばなぜそうなったのかを報告するトラブル報告書であり、顛末書という名称は基本的に社内あてに用います。
このページでは顛末書の書き方について例文を紹介しながら、作成ポイントや注意点などを解説します。

1.顛末書とは?

顛末書とは、仕事上でミスやトラブルなどの問題が発生したときに、その一部始終を会社・社内に報告するためのもので、ビジネス文書のひとつです(読み方は「てんまつしょ」)。トラブル報告書のような意味合いがあります。
そのため、かならずしも事故やトラブルの当事者本人でなくても、最も適任と思われる人が書くこともあります。
 

顛末書を提出するよう求められたら、どうしよう、困ったなどと思うかもしれませんが、顛末書という書類の性質を理解し、トラブルやミスの再発を防ぐために役立てましょう。

顛末書の使用例

・商品やサービスに不備や不具合があった場合

・事務処理や手続き上のミスがあった場合

・事故や不祥事があった場合

上記のようなとき、
(1)いつ、どこで、どのようなことがおこったのか
(2)被害や損害の程度はどのくらいか
(3)現状の対応はどうなっているか
(4)今後の対策はどうするのか
(5)担当者としての意見
などを記載して提出します。

2.顛末書の作成ポイントや注意点

 顛末書は、事故やトラブルが判明したら、あるいは対応を終えたらすぐに、なるべく早く出します。
 但し、「顛末」という言葉のとおり「始めから終わりまで」を書くものなので、ある程度事態が終息してから提出するのが原則です。
 もし、何らかの継続した調査が必要な場合には、まずは別の形で迅速な報告を行い、顛末書はあとで提出します。いずれにしてもできるだけ早く上司に申告、報告をし、全社的に再発防止と改善に努めることが重要です。

顛末書を出す際の注意点

顛末書はトラブル報告書とも言われます。
企業はいざというときの対応能力が求められて来ています。報告書である以上、顛末書の書き方で最も求められるのは、客観的で公平な立場からの視点です。
原因究明と再発防止の対策を記すことが大切になります。
顛末書の作成ポイント

順序立てて書くとわかりやすい

いつ、どこで、何が、どのように、どうした…の5W1Hにそって順序立てて書きます。

原因を究明し、再発防止のための対策を書く

・問題やトラブルはどんなものか?

ミスや過失なのか、事故なのかも含めて、その内容や大きさなどの実態を記載します。

・原因は何か、どこに責任があるのか、

人的なミスや過失によるものなのか、機械や装置に起因するのかなどを記載します。

・ どんな対策が必要か

同じミスや過失を繰り返さないための対策を書きます。

・ 優先順位はどうか

対策に取り組むための優先順位を見直します。

最終的には、顛末報告書を活かす

・対策は実行されているか

できれば、顛末書でその不祥事や事故やトラブルの対策をたてたあと、本当にきちんとその対策が実行されているかの検証もきちんと行いたいものです。

・改善されているか、再発はしていないか

例えば定期的にデータ取りをしたりアンケートを行うなどの方法で、再発防止または改善がきちんと行われているのかを確認していく作業も忘れずに行います。

・検証データを取るのための準備や基礎づくりを

顛末書の出来をワンランク上のものにするためには、こうしたデータ取りのためのフォームやテンプレートなども作成し、添付して提出します。

3.顛末書の書き方と文例(システム障害)

下記にご紹介するのは、顛末書の代表的な文例、例文です。
業務上(ビジネスシーンで)必要な時に参考になさってください。

パソコン、ワープロ等で作成します。担当者が捺印をするのが一般的ですが、企業によっては捺印を省略できることもあります。
事故やトラブルの大きさによって、書き手が変わってきます。
一担当者のレベルで良いものや、該当する部署の責任者名で良いもの、代表者(社長)名で出さなくてはいけないものもあります(=下請け会社が親会社に出す場合など)

なお、人命にかかわる事故や、故意による情報改ざんや、商品の欠陥などに由来する重篤な健康被害などが生じた場合には、公的機関への届け出や、法的な手続きが必要になります。もちろん社内的な報告は必要になるわけですが、このページでは、公的機関への届け出や法的手続きに必要な報告書のサンプル(見本)や文面を紹介しているわけではありませんので、あらかじめご了承下さい。

「システム障害が発生した場合』の顛末書の例文

一般的な書式です。フォーマットを参考にアレンジ・作文してください。
例文
◯◯◯◯年◯◯月◯◯日
代表取締役社長 ◯◯◯◯様
システム管理部
部長 ◯◯◯◯ 
顛末書
このたび社内ネットワーク内で発生したシステムトラブルに関しまして、早速調査いたしました。その結果、原因究明と、再発防止のための対策を講じることができましたので、下記のとおりご報告申し上げます。

1. 発生日時:◯◯◯年◯月◯日 ◯◯時◯◯分頃〜◯◯時◯◯分頃
   (現在はトラブル解消済み)
2. 発生場所:社内◯◯ネットワーク 旅費精算システム
3. トラブル内容:
・旅費精算システム使用中に「通信中にエラーが発生したため処理を中断しました。再度処理を行ってください。」のメッセージが表示され、以降の処理ができない事象が発生した。

・トラブルの発生は製造部のPC端末に集中しており、これらはいずれも同時期に導入したもので、OSバージョンも同一であった。

4. トラブルの原因:

以下のいずれかの条件でトラブルが発生することが判明した。
(1) インターネットオプションの「信頼済みサイト」に、旅費精算システムのサイトが登録されていない場合

(2) インターネットオプションのポップアップブロックの「許可されたサイト」に旅費精算システムのサイトが登録されていない場合

上記に関しては、社内で利用を開始したディレクトリ・サービスにより信頼済みサイトとポップアップブロックの許可が制御されていることが判明した


5. 対応
社内で利用を開始したディレクトリ・サービス(ActiveDirectry)に、社内旅費生産システムについて信頼済みサイトとポップアップブロックの許可を設定しなおしたところ、トラブルが解消した。


6. 今後の対策
・今回のトラブルが一部の端末でのみ発生した点と、事前のチェックで予期できなかった点を重く見て、社内システムのチェック項目に、ディレクトリ・サービス(ActiveDirectry)との相互作用を確認する点を加える。

・他のシステムでも同様のトラブルが発生しないように、勤怠管理システム、小口精算システムなどについてもディレクトリ・サービス(ActiveDirectry)との相互作用を改めてチェックする。

・トラブル発生時に社員自身の手で機能回復が図れるよう、社内システムのページ上に[トラブルシューティング]のボタンを設けることにし、必要なチェック項目を「エラー発生時の確認事項」として紹介する。

・[トラブルシューティングボタン]の掲載内容については担当者および責任者を決め、今後も問い合わせの多い項目やエラーが発生しやすい状況などのデータを集積し、社内システムの改善に役立てていく。
 担当者は以下の通りとする。

 
    ・責任者 システム管理部 部長 ◯◯◯◯
    ・担当者 システム管理部    ◯◯◯◯
    ・担当者 システム管理部    ◯◯◯◯
・システムトラブルの発生状況については、月別にまとめ、定期的に報告書を提出する予定です。
以上

システム障害が発生した場合の顛末書 書き方と解説

ポイント
●宛名は、社長あての場合が大半だが、場合によっては、支店長、支社長あてや工場長あて、所長あてなどのケースもある。
●「顛末書」というタイトルは必ず必要。行の中央に書く。
●ビジネス文書なので時候の挨拶は不要。
●頭語と結語「拝啓」+「敬具」も不要。
●トラブルや事故の具体的な内容、経緯、結果 、対策などを箇条書きで述べる。
●現状の対応と、再発防止のための対策に触れる。
●報告者自身のコメントや意見があれば入れる。
※重要なのは、なぜこうしたことが起きたのか、原因をしっかりと見極めて、同じ事故やトラブルを二度と繰り返さない事です。
原因がわかれば、対策をうつこともできます。会社にも安心してもらうことができます。
1. 宛先
宛先を社長名にする場合が多いようです。場合によっては支店長、所長、工場長あてなどの場合もあります。
下の例のように、社名まで記載する場合もあります。
・会社名も書く例(社長あての場合)…□□□□□株式会社
代表取締役□□□□
・会社名も書く例(支店長あての場合)…□□□□□株式会社
□□□支店
支店長 □□□□
2. 作成日または提出日.作成者を明記
・顛末書の作成日または提出日は必ず記載します。

・作成者の担当部署名および氏名を明記します。名前の横に捺印します。
(捺印は不要としている会社もあります)
企業によっては(役所によっては)関連部署の責任者の氏名と担当者の氏名を両方とも記載こともあります。
責任者と担当者の氏名は上下に並べて書いて捺印する形にするか、横並びにして四角いマス状の記載欄を作る等、書式をアレンジして下さい。
[責任者と担当者を上下に並べる場合の記載例]
◯◯支店 営業部
部長 山本 上雄 
課長 田中 中雄 
高橋 末雄 
3. 事実の把握
・記載するときには5W1H(いつ、だれが、何を、どこで、なぜ、どのように、どうした)にそった記述を心掛けます。
4. 原因、現状の対応、今後の対策
・原因がわかれば、ミスやトラブルも防げるものです。現在の対応だけでなく、顛末書では、今後の再発防止策にも触れることが必要です。

・上記の文例では再発防止のためにいろいろなことをしています。
 社内で共有化し、二度と同じ事故やトラブルが無いように、また、トラブルにより業務をストップすることが無いよう、様々な改善をしてゆくのが本当のねらいです。  
5. その他

・上記の文例では対策を講じたあとのトラブル発生件数の推移も報告することを明記しています。社内で見つかったトラブルや事故について、原因を分析し、対策をたて、その後どうなったかを追跡することも必要です。
結果として良くなったのであれば「改善報告書」といった形で必ずフィードバックしましょう。