提案書の書き方》盛り込む項目と、作成ポイントを解説(1)

提案書の書き方のページ。提案書とは、意見やアイディアもしくは議案を提出する際に記載する書類のことを言います。提案書には改善提案書、導入提案書、問題解決のための提案書、新しいアイディアのための提案書など、さまざまな用途がありますが、最も一般的なのは、業務に関係する改善提案を記載した提案書であり、企業(会社)や役所などの職場で最も良く用いられ「改善提案書」等の名称で使われています。ここでは提案書の書き方を見本を交えて解説します。

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4. 提案書の書式について 次のページ
5. 提案書の書式[1]一枚書式の雛形・サンプル 次のページ
6. 提案書の書式[2]複数枚書式の雛形・サンプル 次のページ
[参考ページ]
・企画書1(目的,使い方)>>>
・企画書2(一枚タイプ)>>>
・企画書3(複数枚タイプ)>>>
・稟議書りんぎしょ>>>

1.提案書とは

 提案書とは、意見やアイディアもしくは議案を提出する際に記載する書類のことを言います。提案書の中で最も一般的なのは、業務にかかわる改善提案を記載した提案書であり、会社や役所などの職場で最も良く用いられます。
 提案書の主な特徴には以下のものがあります。

提案書の特徴

1.提案書と稟議書の違いは?
●提案書は了承や承認を得ることを目的とするものではなく、提案する、つまり「意見を伝える」「アイディアをわかりやすく表現し伝える」こと自体が第一の目的であり、実際にその提案が受け入れられるかどうかに関しては検証や会議などのプロセスを要します。
●稟議書は主に了承を得たい事案に用いられます。
会議を開いて決裁を受けるほどではない事案が対象となり、書類に決裁権者から捺印を受けることで承認されたことになります。
(※稟議書=りんぎしょのページへ>>
2.提案書と企画書の違いは?
●提案書のうち最も一般的なものは、現状の課題や問題点を指摘し、その改善案を記載したものです。提案する案や意見が具体的なものでなくても「提案書」としては容認されます。アイディアや企画を“提案”する際にも用いられます。
●企画書は、あることを実行するための具体的な計画を記載した書類をさします。イベント、行事、広告、戦略、新規プロジェクト、新製品などに関して作成されることが多いものです。
提案書と企画書との違いは「企画書には具体性があること」です。
上記が提案書の特徴であり、内容によって提出先とその目的が異なります。特に書類だけで意見を伝えるという性格上、読み手にとってわかりやすい表現にすることが求められます。
なお、提案書の書き方については次項「2.提案書の書き方」で説明いたします。
 提案書はビジネス文書のうちの一つですが、提案書を書く主なケースには以下のようなものがあります(用途別に以下のような名称で作成されます)。  

提案書の用途 (提案書が作成される例)

※下記は一例です。いずれの場合も、企業や団体、自治体によって内容や範囲が異なります。
A.改善提案書
・業務改善提案書、収益改善のための提案書、業務効率化のための提案書、経費削減のための提案書など。
B.導入提案書
・新方式導入のための提案書、新機種導入のための提案書、新システム導入のための提案書など
C.問題解決のための提案書
・病虫害解決のための提案書、環境保全のための提案書、渋滞解消のための提案書、旧校舎廃材の有効活用のための提案書など
D.新しいアイディアのための提案書
・地域住民とのふれあい交流会の提案書、子ども広場の活用方法についての提案書など。
E.上記以外の、提案書が作成される事例
・提案書が用いられるシーンは業務関係にとどまらず、その内容も様々です。上記以外にも作成されることがあると思います。
例)ノー残業デーの提案、他企業との交流勉強会の提案など。
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2.提案書の書き方・提案書の作り方

それでは提案書の書き方をご紹介します。
書式に決まりはないのですが、最も重要なのはわかりやすく作成することです。
ここでは「ざっくりと理解する」というつもりでご覧下さい。
なお、わかりやすくするために番号をつけていますが、順番には特に意味はありません。

ビジネス文書[提案書]に盛り込む項目と書き方ポイント

項目

説明

必須度
[1]社内でよく用いられる提案書の書式・社内用
1.宛名、宛先
 ●一般的に、社内あてに出す提案書の場合には、宛名はナシのケースが多いようです。
2.管理番号(あるいは、通し番号,整理番号,受理番号)
 ●提案書は番号をつけて管理します。そのためナンバリングは不可欠であり、データとして管理する際に役にたちます。
一般的に番号の付与は、受理する部門の担当者(提案書を管轄している部署)が行なうことが多いようです(つまり、提案者ではなく、管理部門が番号をつけます)。
3.作成年月日、提案年月日
 ●提案書の作成日を記載します。提案日と呼ぶこともあります。
4.作成者・提案者・記入者の所属部署名および氏名
 ●提案書の作成者・提案者・記入者の所属部署名を記載します。
QC活動での提案書の場合には、グループ名を書くケースが多いようです。
●提案書の作成者・報告者・記入者の氏名を記載します。
5.タイトル
 ●文書の中央上部に「提案書」というタイトルをつけます。
●用件に合わせて提案の対象やテーマをタイトルに入れることもあります。 例えば「改善提案書」「導入提案書」のように、単に提案書というタイトルではなく「◯◯提案書」「◯◯に関する提案書」という名称にして使用されることもあります。
●まれにですが、本来は目的が異なる「企画書」という名称の書類と同じ目的で用いられることがあります。
6.提案書の内容の項目 につづく

ビジネス文書[提案書]に盛り込む項目と書き方ポイント

項目

説明

必須度
[1]社内でよく用いられる提案書の書式・社内用 つづき
6.提案書の内容の項目
提案書はなるべくわかりやすく簡潔な表現を心掛けます。
(6-1)提案の名称
 ●提案したい内容に名称をつけ、サブタイトルとして記載します。ただし、提案書そのものにこの名称をつけた場合には省略されます。
(6-2)はじめに…(提案理由)
 ●導入部分です。提案のきっかけとなった事柄などを書きます。動機づけの部分です。
(6-3)現状分析
 ●提案書のテーマや目的によっては、現状分析をします。
もし内容の説明が必要な場合には、補足説明用にグラフやイラストなどを入れます。
(6-4)内容または概要
 ●メインとなる提案内容を書きます。
提案書はなるべく簡潔にまとめるようにします。
もし内容の説明が必要な場合には、補足説明用にグラフやイラストなどを入れます。
合わせて「必要な費用」「必要な資材」「必要な人的資源」なども記載します。
(6-5)期待される効果
 ●提案内容が実現することによって実現が見込まれる成果や効果を書きます。
(6-6)分類
 ●提案書を定期的に提出させている職場などでは、テーマごとに分類されており、該当する項目を記載したり、チェックを入れたりします。
(分類の例:経費削減、効率アップ、環境保護、などが挙げられており、該当する項目にチェックをつけたりマルで囲んだりします)
(6-7)スケジュール
 ●提案内容によっては必要となる日数なども記載します。
7.受理日、受理印の欄
 ●提案書を管轄する部署(事務局など)において、その案件を受理した段階で受理員を押印し、(必要があれば番号を付与してから)必要な相手に回覧します。
8.コメント欄、意見欄、備考欄、特記事項欄
 ● 提案書を管轄する部署(事務局など)で、「採用」「不採用」といったジャッジや、「◯◯部にて検討」「詳細を再調査」「要テスト」などのコメントを書いたりする欄です。
9.別紙・資料
 ●提案書が表紙タイプの「一枚」になっている場合には、提案内容はなるべく簡潔にまとめるようにします。
もし補足説明が必要な場合には、本紙では概要を述べ、詳細や資料は「別紙」という形で添付します。
見積書や写真、カタログ、イラスト、図面なども添付すると良いでしょう。
10.保存・保管
 ●管理部門では、提案書を保管します。提案書という書類の形で保管するケースが一般的ですが、電子化してデータ保存する場合もあります。
 受理をもって保存される案件と、実行完了の報告を待って保存される案件があります。
[ワンポイント]
提案書には一枚だけの書式のものと、企画書のような体裁の、複数枚にわたるものがあります。社内での提案制度などに使われるのは簡単な書式で「一枚もの」が多いようです。

ビジネス文書[提案書]に盛り込む項目と書き方ポイント

項目

説明

必須度
[2]社外あてに出す場合に良く用いられる提案書の書式
1.宛名、宛先
 ●一般的に社外あてに出す提案書の場合には、宛名は会社あてとなります。
「◯◯株式会社 御中」「株式会社◯◯ 御中」などと書きます。
●宛名の記載ナシの書式を使用することもあります。機械、装置、システムの導入の提案書などによく見かけますが、不特定の相手に渡す可能性が高い提案書に多くみられます。汎用性が要求されるためです。
2.管理番号(あるいは通し番号、整理番号、受理番号)
 ●提案書は番号をつけて管理します。社内での管理はもちろんですが、もし社外あての提案の場合でも、あとで取引先から照会があった場合には該当する番号をもとに対応が可能です。
3.作成年月日、提案年月日
 ●提案書の作成日を記載します。提案日と呼ぶこともあります。
4.作成者・提案者・記入者の所属部署名および氏名
 ●提案書の作成者・提案者・記入者の所属部署名を記載します。
QC活動での提案書の場合には、グループ名を書くケースが多いようです。
●提案書の作成者・報告者・記入者の氏名を記載します。
●社外あての提案書の場合には、部署名よりも前に(上に)会社名を記載します。
5.タイトル
 ●文書の中央上部に「提案書」というタイトルをつけます。
もし複数枚にわたる提案書をつくる場合には、タイトルだけを一枚の用紙に記載することがあります。
(タイトルを中央に書き、宛先は左上、日付は右上、提案者の社名や所属、氏名は右下です)
●用件に合わせて提案の対象やテーマをタイトルに入れることもあります。 例えば「改善提案書」「導入提案書」のように、「◯◯提案書」「◯◯に関する提案書」という名称にして使用されます。
●まれにですが、本来は目的が異なる「企画書」と同じ目的で提案書が用いられることがあります。
6.提案書の内容の項目
提案書はなるべくわかりやすく簡潔な表現を心掛けます。
各項目ごとに一枚の用紙を用いることにより、より一層簡潔でわかりやすい表現を強調することがあります。 ただし、全体の枚数は10枚以内程度におさめるように心掛けます。
(6-1)提案の名称
 ●提案したい内容に名称をつけ、サブタイトルとして記載します。ただし、提案書そのものにこの名称をつけた場合には省略されます。
(6-2)目次
 ●提案書の項目を挙げて目次をつくります。ページ番号をつけて目次の項目と連動させます。
(6-2)はじめに…(提案理由)
 ●導入部分です。提案のきっかけとなった事柄などを書きます。動機づけの部分です。
(6-3)現状分析
 ●提案書のテーマや目的によっては、現状分析をします。
もし内容の説明が必要な場合には、補足説明用にグラフやイラストなどを入れます。
(6-4)内容または概要
 ●メインとなる提案内容を書きます。
提案書はなるべく簡潔にまとめるようにします。
もし内容の説明が必要な場合には、補足説明用にグラフやイラストなどを入れます。
●合わせて「必要な費用」「必要な資材」「必要な人的資源」なども記載します。
(6-5)期待される効果
 ●提案内容が実現することによって実現が見込まれる成果や効果を書きます。
●取引先への提案書の場合には、こうしたメリットだけでなく、あなたの会社がどのようにこの提案にかかわることができるのかをわかりやすく提示します。
(6-6)分類
 ●提案書を定期的に提出させている職場などでは、テーマごとに分類されており、該当する項目を記載したり、チェックを入れたりします。
(分類の例:経費削減、効率アップ、環境保護、などが挙げられており、該当する項目にチェックをつけたりマルで囲んだりします)
●社外に出す提案書の場合には、この項目がおもてに出ることはありません。
(6-7)スケジュール
 ●提案内容によっては必要となる日数なども記載します。

ビジネス文書[提案書]に盛り込む項目と書き方ポイント(つづき)

項目

説明

必須度
[2]社外あてに出す場合に良く用いられる提案書の書式(つづき)
7.受理日、受理印の欄
 ●提案書を管轄する部署(事務局など)において、その案件を受理した段階で受理印を押印し、(必要があれば番号を付与してから)必要な相手に回覧します。
●社外に出す提案書の場合には、この項目がおもてに出ることはありません。
8.コメント欄、意見欄、備考欄、特記事項欄
 ● 提案書を管轄する部署(事務局など)で、「採用」「不採用」といったジャッジや、「◯◯部にて検討」「詳細を再調査」「要テスト」などのコメントを書いたりする欄です。
9.別紙・資料
 

●提案書が表紙タイプの「一枚」になっている場合には、提案内容はなるべく簡潔にまとめるようにします。
もし補足説明が必要な場合には、本紙では概要を述べ、詳細や資料は「別紙」という形で添付します。
「別紙」に該当するものとしては見積書や写真、カタログ、イラスト、図面などがあります。わかりやすいものを添付すると良いでしょう。
※書式(1枚のもの、複数枚のもの)についてはこのページの項目3へ>>>

10.保存・保管
 ●管理部門では、提案書を保管します。提案書という書類の形で保管するケースが一般的ですが、電子化してデータ保存する場合もあります。
 受理をもって保存される案件と、実行完了の報告を待って保存される案件があります。
[ワンポイント]
提案書は、テーマの大きさに応じて決裁を仰ぐ相手が変わって来ます。
テーマ別に提出先のフローチャートをつくり、提案書のフォーマットを作ると良いでしょう。
提出する相手によって、「[その分野]に詳しい相手かどうか」を見極めて提案書を作成ことが必要です。例えば事務系の相手に技術系の内容を提案する場合には、欄外に専門用語をわかりやすく解説する、イラストや図を活用する等の配慮をすることもあります。
また書式が固定されているテンプレートを使うよりも汎用性のあるソフトで自作することをおすすめします。次項で見本をご紹介します。

3.提案書の書式・雛形・サンプル

別ページに一般的な提案書としてに使える提案書の書式例をご紹介します。ご自身で雛形をお作りになる際に参考になさってください。
書式には、大きく分けて2つのタイプがあります。

ビジネス文書[提案書]の書式

タイプ

説明

[1]社内提案でよく用いられる提案書の書式(一枚もの)
 ●社内提案制度などを設けている会社で使われる用紙のタイプ。
職場ごとに(提案制度ごとに)項目が定められているものや、決まった書式があるものが多く、一枚ですべての項目が書き込めるようになっている。
文例・例文は「提案書2」で紹介>>
●QC活動などでも良く用いられる。
[2]社外に対してよく用いられる提案書の書式(複数にわたるもの)
 ●社外に対する営業活動に良く用いられるタイプ。
各項目ごとに1枚ずつ用紙を使うものが多い。決まった書式はないが、簡潔でわかりやすい表現をすることが必要。
提案書全体のデザインに統一感をもたせ、トータル枚数が多くなりすぎないようにする(企画書でも同様の書式のものがあります)。
●社外あての場合には、宛名の書き方や敬語の表現などのビジネスマナーにも留意すること。
●ひとつ提案書を作っておけば、それを雛形とし、内容の部分を変えるだけでさまざまなケースに使えることもあります。一度自分で作ってみることをおすすめします。
文例・例文は「提案書2」で紹介>>
※これら[1][2]について、具体的な書式の例・文例を次のページで紹介します。
画像を紹介し、各項目を説明しつつ具体的な例文・文例も載せていますので、雛形を作る際の参考になさってください。
「提案書2へ」>>>
提案書の書式4.提案書の書式について 次のページ
提案書の例15.提案書の書式[1]一枚書式の雛形・サンプル 次のページ
提案書の例26.提案書の書式[2]複数枚書式の雛形・サンプル 次のページ
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