業務委託契約書》雛形/ひな形/印紙/収入印紙/印紙税/書式/様式/文例/解除

 依頼主の業務の一部または全部を委託先に任せる際に締結する契約を業務委託契約と言います。代理店販売契約、保守業務委託契約、管理業務委託契約などの名称は皆さんも目にした事があるでしょう。
………ビジネス文書「業務委託契約書」のページの内容………
業務委託契約書ってなに業務委託契約書とは?
出す時期業務委託契約書の種類には、どんなものがあるの?
業務委託契約書を作ってみよう業務委託契約書を作ってみよう
  (業務委託契約書の雛形・ひな形と書式)
業務委託契約書を作ってみよう業務委託契約書に貼る収入印紙について
はみだし知識…1.業務委託契約の解除について 2.工事注文書について
※「契約書の作り方と印鑑」は別ぺージで説明しています。
※「売買契約書」は別ぺージで説明しています。

業務委託契約書とは?

 業務委託契約とは、業務の一部または全部をまかせる際に、委託者と受託者のとの間で締結する契約をさします。業務委託契約書とはこの業務委託契約の成立を証明する書類であり、契約の内容を表示したものです。
 ビジネスの場において広範囲に用いられており、事前に双方が条件に合意の上で業務に着手することで、一方だけが有利な条件や、強引な契約を回避することができ、トラブル防止に役立ちます。
 また、契約解約の際の条件や支払いについても明記しておくことで、双方にとって「より安心できる業務契約書」になります。
例えば、下請法(=下請代金支払遅延等防止法。詳細は別ぺージで解説しています>>)では、親事業者が下請け事業者に対して業務を発注する際には、以下のことが定められています。おもな注意点は下記のとおりです。
(1)親事業者が必ず守ること=契約を書面で交わす
(2)行なってはいけないこと=代金の減額、支払い遅延、買いたたき
この下請法で規定される取引でない場合(例えば、下請関係にはない、通常の業務委託契約や、代理店販売の契約(代理商契約)や、地方自治体や公共団体が役務を発注する際の業務委託契約、資本金にさほど差がない企業間での契約や、対等な立場でのさまざまな契約)においても、契約書を取り交わすことは商取引の上でのトラブル防止におおいに役立ちます。
事前に取り交わされることが多いことは言うまでもありません。

業務委託契約書の種類にはどんなものがあるの?

業務委託契約書の例には以下のようなものがあります。
・保守業務委託契約書、保守契約書・設計業務委託契約書
・調査業務委託契約書・代理店業務委託契約書
・警備業務委託契約書・商品販売業務委託契約書
・ホームページ作成業務委託契約書
・ホームページ管理・運営、更新に関する業務委託契約書
・コンサルティング業務委託契約書        など
なお、委託する側の立場ではなく請け負う側の立場で作成する契約書の場合には、名称が「業務請負契約書」となります。
建設業などでは、「工事請負契約書」という名称の契約書を交わすケースが多いようです。
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業務委託契約書を作ってみよう
(業務委託契約書の書き方、文例、例文)

★契約書にぜひとも盛り込みたい内容を箇条書きにしました。
契約書に掲載する順序や、各条文の詳細はケースごとに検討してみてください。
この表の下に、業務委託契約書、サンプル・見本を掲載しております。
0-1.表題
「業務委託契約書」「業務委託基本契約書」などの名称が用いられます。
0-2.収入印紙貼付
0-3.委託者および受託者の名称など(甲、乙として定義)
1.目的
2.委託業務の内容や範囲
3.期間や納期
4.支払金額(委託料)
5.支払方法(一括、分割、現金、手形など)
6.保証金(保証金の有無や条件など)
7.報告・調査(途中経過の報告、完了時の報告その他)
8.契約内容の変更
9.契約の解除の条件と、その際の支払い
10.検品、検収
11.納品方法
12.機密保持(別途、機密保持契約書を締結する場合もあります)
13.契約違反の場合のペナルティーと支払い
14.物品や成果物の権利の帰属
15.紛争の解決方法
16.掲載のない事項が発生したときの対処方法
17.日付(契約日)
18.各自の署名、捺印
★ 下記にご紹介するのは、業務委託契約書書式の代表的な文例、例文です。 不要な箇所は削除し、必要な箇所を用いて下さい。
業務委託契約書の代表的なサンプル例
書式の見本・雛形
 
収入
印紙
業務委託契約書
委託者◯◯◯◯◯(以下「甲」という)と受託者□□□□□(以下「乙」という)とは、以下のとおり×××××業務委託に関する契約を締結する。
1.委託業務の名称 
2.業務場所 
3.委託期間(※「履行期間」とする書き方もあります)
4.委託料
 [うち取引に係る消費税および地方消費税の額 ¥    ]
5.委託料の支払方法(※「業務委託料支払の時期」とする書き方もあります。例えば毎月等の支払いの場合には、支払いの時期及び金額の内訳を記載します)
6.契約保証金(記載例:「免除とする。但し、契約を履行できなかった場合は、請負代金の◯◯分の◯◯に相当する額を納入するものとする」など)
 
 上記の委託契約について、委託者と受託者は次の条項により、委託契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行するものとする。
 この契約の証として本書2通を作成し、当事者記名押印の上、各自一通を保有するものとする。
令和◯◯年◯◯月◯◯日
   甲住所 
 氏名
   
  乙住所 
 氏名
 
下記が上に続く内容の一般例です。フォーマットとして必要な箇所のみ使って下さい。
なお、実際に契約書を作るときの作り方や様式(書類の綴じ方、印鑑の押し方なども含む)は、別ページで詳しく説明しています。>>>
業務委託契約書雛形
(総則)
第1条 甲及び乙は、頭書の業務の委託契約に際し、この契約書に定めるもののほか、別紙の仕様書に従いこれを履行しなければならない。
  2 前項の仕様書に明記されていないものがあるときは、その都度甲乙協議の上これを定める。
(目的)
第2条 (←目的は委託内容により異なりますので省略します)
 (目的の箇所の書き方例)
「◯◯を行うにあたり、◯◯における□□□□を適正かつ確実に行なうための業務を委託する」など
(権利義務の譲渡等)
第3条 乙は、この契約によって生ずる権利または義務を第三者に譲渡し、または継承させてはならない。
但し、書面により甲の承諾を得た時はこの限りではない。
(機密の保持)
第4条 乙は、この契約の履行中に知り得た秘密を他に漏らしてはならない
(一括再委託の禁止)
第5条 乙は、業務の全部を一括して第三者に委任し、又は請け負わせてはならない。
(再委任の事前承認)
第6条 乙は、業務の一部(但し主たる部分を除く)を第三者に委任し、または請け負わせようとする時(以下「再委任」という)は、あらかじめ再委託の相手方の住所、氏名、再委託を行なう業務の範囲、再委託の必要性及び契約金額等について記載した書面を甲に提出し、承諾を得なければならない。
 なお、再委託の内容を変更しようとする時も同様とする
  2 前項の規定は、乙がワープロ、コピー、印刷、正本、消耗品購入(注…以下省略)等の軽微な業務を再委託しようとするときには適用しない。
  3 第1項のなお書きの規定は軽微な変更に該当する時は適用しない。
(履行報告)
第7条 乙は、仕様書の定めるところにより、契約の履行について調査をし、甲に報告しなければならない。
(検収および引き渡し)
第8条 乙は、仕様書に記載の成果品を甲に提出し、甲は◯日以内に検収するものとする。
  2 前項の検収の結果、不合格となった場合は、甲が指定する期間内に乙は甲の指示に従って修正し、再検収を受けなければならない。
(業務委託料の支払)
第9条 乙は、前条の検査に合格したときは、甲に対して業務委託料の支払を請求することができる。
  2 甲は、前項の規定による請求を受けた時は、その日から起算して◯◯日以内に業務委託料を支払わなくてはならない。
  3 甲がその責に帰すべき理由により、前条第1項の検査をしないときは、その期限を経過した日から検査をした日までの日数を前項の期間の日数から差し引くものとする。
(履行遅延の場合における損害金等)
第10条 乙の責に帰する理由により、期間内に委託業務を完了することができない場合において、期間経過後相当の期間内に完了する見込みがあると認めた時は、甲は、乙から損害金を徴集して期間を延長することができる。
  2 前項の損害金の額は、頭書の業務委託料から、既に完了した業務委託に該当する委託料を控除した額に対して、◯◯◯◯の割合を乗じて計算した金額とする。
  3 甲がその責に帰すべき理由により、業務委託料の支払いが遅れた場合においては、乙は遅延日数に応じ、◯◯◯◯の割合を乗じて計算した額の利息を甲に請求することができる。
(補則)
第11条 この契約書に定めのない事項については、甲乙協議の上これを定める。
★この他の事項
契約書に記載する内容は、委託する業務の内容によって異なって来ます。
上記以外に、契約書に良く用いられる事項として、下記を紹介します。
業務委託契約書雛形(つづき)
(業務内容の変更等)
第L条 甲は、必要があるときは、業務の内容を変更しまたは業務の全部もしくは一部を一時中止することができる。この場合において、委託期間または委託料を変更する必要があるときは、甲乙協議の上、書面によりこれを定める。
  2 前項において、乙が損害を受けた時は、甲はその損害を保証しなければならない。この場合における賠償額は、甲乙協議の上、書面によりこれを定める。
(乙の請求による期間の延長等)
第M条 天災その他の不可抗力、又はその他、乙の責に帰すことができない理由により期間内に業務を完了することができないときは、乙は甲に対して遅滞なくその理由を明らかにした書面により期間の延長をもとめることができる。この場合の延長日数は、甲乙協議の上書面によりこれを定める。
(甲の解除権) ※解除については、こちらも参照してください>>>
第N条 甲は、乙が次の各号の一に該当する時は、契約を解除することができる。
乙がその責に帰すべき理由により、委託業務の履行ができないと認められる時
乙が契約に違反し、その違反により契約の目的を達成できないと認められる時
乙が契約の解除を申し出た時
  2 甲は、前項の規定により契約を解除した時は、委託業務の終了した部分を確認し、相応する業務委託料を支払わなければならない。
  3 第1項の規定により契約が解除された場合は、乙は甲に対し、甲が指定する期間内に◯◯◯相当の違約金を支払わなければならない。
(乙の解除権)
第P条 乙は、次の各号の一に該当する時は、契約を解除することができる。
天災その他不可抗力により契約の目的を達成できないと認められる時
甲が契約に違反し、その違反により契約を履行することが不可能となったとき
  2 甲の契約違反により、乙が契約を解除した場合には、甲はこれによって生じた乙の損害を賠償しなければならない。但しその金額は甲乙協議の上書面により定める
(その他)
1.関係法令等
  乙は、委託契約書ならびに、仕様書および関係法令に基づいて業務を行なわなければならない。
1.疑義の解決(紛争の解決)
  本契約書に定めるものにつき、協議が整わない場合や、この契約に関して甲乙間に紛争が生じた場合には、甲乙協議により選任したもののあっせんまたは調停によりその解決をはかるものとする。
この場合における紛争の処理に要する費用は、甲乙協議の上別に定めたものをのぞき、各自これを負担するものとする。

業務委託契約書に貼る印紙税(収入印紙)

領収書などの「課税文書」に貼られている、切手みたいな小さな紙片を収入印紙と呼びます。
印紙税法で「税を課す」と定められている文書に、印紙税(または手数料、費用)を納めたしるしとして貼ります。みなさんの身近にある郵便局や、法務局の印紙売り場などで購入ができます。
請負契約書には、収入印紙を貼らなくてはなりません。
貼る位置は、一般的に「◯◯◯◯契約書」というタイトルの右側などです。
・いくらの印紙を貼るの?
・印紙税が課税されるのは、「印紙税法」という法律で定められた課税文書です。
・下記の3つの項目のすべてにあてはまる文書を課税文書と言います。
[国税庁タックスアンサーより平成19年8月1日時点の掲載内容を引用]
 (1)印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
 (2)当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
 (3)印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。
・課税文書に該当するかどうかは、その文書に記載されている内容に基づいて判断されることになりますが、文書(書面)の名称や、使用される文言は、当事者間で種々の意味に用いられることが多いため、名称や文言ではなく、書かれている内容で判断します。
・例えば金額そのものの記載はなくても、文書中の単価や数量で金額が掲載されている場合は、その計算額を記載金額とみなし、領収済と書かれていれば、領収書と同じ扱いとなります。
・課税物件表は下記のとおりです
業務委託契約書は2号、3号、7号の箇所に該当します。下記は該当箇所のみを抜粋します。 その他の各号については、印紙のページを参照してください。印紙のページへ>>
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・印紙税額一覧表(業務委託契約書の収入印紙)
業務委託契約書の印紙税について見てみましょう。
代理店契約書、特約店契約書、売買取引基本契約書などの業務委託契約書には、一通又は一冊ごとに印紙税がかかります。
業務委託契約書印紙は7号文書としてチェックしてください。
その他に、請負に関する契約書は2号文書となります。
印紙税額の一覧表(抜粋)[平成30年2月現在(2月27日チェック済み)]
文書の種類印紙税額(1通または1冊につき)
 

記載された契約金額が
1万円未満非課税
100万円以下200円
100万円を超え200万円以下400円
200万円を超え300万円以下1千円
300万円を超え500万円以下2千円
500万円を超え1千万円以下1万円
1千万円を超え5千万円以下2万円
5千万円を超え1億円以下6万円
1億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下20万円
10億円を超え50億円以下40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円


(注)平成9年4月1日から
平成30年 3月31日までの
間に作成される建設工事の
請負に関する契約書のうち、
契約書に記載された契約金が
一定金額を超えるものについ
ては、税率の軽減がある
詳細はこちら)。

[請負に関する契約書]
 工事請負契約書、工事注文請負書、物品加工注文請書、広告契約書、映画俳優専属契約書、請負金額変更契約書など
〈注〉請負には、職業野球の選手、映画(演劇)の俳優(監督、演出家、プロデューサー)、プロボクサー、プロレスラー、音楽家、舞踏家、テレビジョン放送の演技者(演出家、プロデューサー)が、その者としての役務を提供を約することを内容とする契約を含みます。
 

記載された手形金額が
10万円未満非課税
100万円以下200円
100万円を超え200万円以下400円
200万円を超え300万円以下600円
300万円を超え500万円以下千円
500万円を超え1千万円以下2千円
1千万円を超え2千万円以下4千円
2千万円を超え3千万円以下6千円
3千万円を超え5千万円以下1万円
5千万円を超え1億円以下2万円
1億円を超え2億円以下4万円
2億円を超え3億円以下6万円
3億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下15万円
10億円を超えるもの20万円

[約束手形または為替手形]
(注1)手形金額の記載のない手形は非課税となりますが、金額を補充したときは、その補充をした人がその手形を作成した人とみなされ、納税義務者となります。
(注2)振出人の署名のない白地手形(手形金額の記載のないものは除かれます)で、引受人やその他の手形当事者がその手形を作成したことになります。
(注3)手形の複本又は謄本は非課税です。

記載された手形金額が
10万円未満非課税
10万円以上200円

上記のうち、
(1)一覧払のもの
(2)金融機関相互間のもの
(3)外国通貨で金額を表示したもの
(4)非居住者円表示のもの
(5)円建銀行引受手形表示のもの
 [継続的取引の基本となる契約書]
〈注〉契約期間が3ヶ月以内で、かつ、更新の定めのないものは除きます。
(7号文書に該当する例)
売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、売買契約書、銀行取引約定書など
4千円
不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
平成26年4月1日から平成30年3月31日までの間に作成される、次の2種類の契約書について印紙税の税率が軽減されています。
(平成26年3月31日までは別の印紙税の税率が軽減されていました)
1 土地建物売買契約書などの不動産の譲渡に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が10万円を超えるもの
なお、不動産の譲渡に関する契約と第1号に掲げる他の契約が併記された契約書も軽減措置の対象になります。
(例)建物の譲渡(4千万円)と定期借地権の譲渡(2千万円)に関する事項が書かれている契約書の場合、その契約金額は6千万円(建物4千万円+定期借地権2千万円)ですから、印紙税額は3万円となります。)
軽減後の税額は、いずれも契約書に記載された契約金額により次のとおりとなっています。

 記載金額税額
 

1万円以上 50万円以下のもの

200円
 50万円を超え 100万円以下のもの500円
 100万円を超え 500万円以下のもの1千円
 500万円を超え 1,000万円以下のもの5千円
 1,000万円を超え 5,000万円以下のもの1万円
 5,000万円を超え 1億円以下のもの3万円
 1億円を超え 5億円以下のもの6万円
 5億円を超え 10億円以下のもの16万円
 10億円を超え 50億円以下のもの32万円
 50億円を超えるもの48万円
2 建物建築工事請負契約書などの建設工事の請負に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が100万円を超えるもの
なお、建設工事の請負に関する契約に基づき作成される契約書であれば、その契約書に建設工事以外の請負に関する事項が併記されていても、全体が軽減措置の対象になります。
(例)建物建設工事の請負(5千万円)と建物設計の請負(5百万円)に関する事項が書かれている契約書の場合、その契約金額は5千5百万円(建物建設工事5千万円+設計5百万円)ですから、印紙税額は3万円となります。)
軽減後の税額は、いずれも契約書に記載された契約金額により次のとおりとなっています。

 記載金額税額
 

1万円以上 200万円以下のもの

200円
 200万円を超え 300万円以下のもの500円
 300万円を超え 500万円以下のもの1千円
 500万円を超え 1,000万円以下のもの5千円
 1,000万円を超え 5,000万円以下のもの1万円
 5,000万円を超え 1億円以下のもの3万円
 1億円を超え 5億円以下のもの6万円
 5億円を超え 10億円以下のもの16万円
 10億円を超え 50億円以下のもの32万円
 50億円を超えるもの48万円
【はみだし知識(その1)】
業務委託契約解除について…契約の解除しかたは簡単ではありません。
民法上の「請負」に関する解除権については、例えば民法635条、民法541条などで決められています。
[民法第541条]
注文者が請負人に対して有する「履行遅延の場合における法廷解除権」について述べています。
下記は、成立要件があり、「履行が可能であるにもかかわらず履行しない」、「催告したが、相当の期間を経過しても履行しない」などの要件が満たされれば解除できます。
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。
[民法第635条]
注文者が請負人に対して有する「契約の解除権と、その例外」について述べています。
仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することが出来ないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。
ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。
【はみだし知識(その2)】
工事注文書は、厳密には契約書とは言えませんが、記載された内容によっては契約書とみなされ、第2号文書(請負に関する契約書)に該当し、課税文書となります。
 (1)第2号文書に該当する工事注文書とは
その工事注文書を交付することにより、契約が成立するもの。
а.例えば、注文書の文中に「別紙◯月◯日付の基本契約書(第◯条)に基づき、下記のとおり注文致します」などの一文が盛り込まれているもの
b.例えば、注文書の文中に「別紙◯月◯日付の見積書(第◯号)に基づき、下記のとおり注文致します」などの一文が盛り込まれているもの
 
 
(2)第2号文書に該当しない工事注文書とは
上記の(1)のa.およびb.の文章に添えて、以下の一文が添えられているもの
「なお、注文をお引受けの場合には、請書をご提出下さい」
ただし、(2)の文書であっても、甲乙双方の署名または押印がある場合には、「契約の成立の事実を証明する文書」とみなされて、第2号文書に該当することになります。
ご注意:このページは自由にご覧いただけるように作成いたしましたが、個々の事例について完全に網羅しているわけではありません。詳細につきましては、必ず関係各省庁にご確認下さい。