電話応対・受け方のビジネスマナー》電話の出方と対応の基本

電話応対・電話のマナーは社会人としての基本中の基本です。特に会社・職場などのビジネスシーンの場合は、あなたの電話応対、電話の受け方ひとつで会社の印象が左右されます。
このページでは上手な電話の受け方のヒント、電話を受ける場合の注意点とポイントをはじめとした電話応対の基本(受け方の手順や対応のマニュアル、電話で良く使われる言葉や敬語)、迷惑電話やクレーム対応などについてわかりやすく紹介しています。
………「電話の受け方・電話応対」のページの内容………
1. 電話を受ける場合のポイント(電話応対/基礎編)
  なるべく早く電話を取る、
  第一声は明るく、
  重要な情報はメモと復唱を、
  相手を長く待たせない(長く保留にしない) ほか
  [ワンポイント]秘書の電話の受け方に学ぶ ほか
2. 電話の受け方と手順(マニュアル・電話応対/応用編)電話応対の基本
   ①担当者が社内にいる場合
   ②担当者が電話中の場合
   ③担当者が会議中の場合 次のページへ
   ④社内電話・社内同士の電話 次のページへ
3. 電話でよく使われる言葉・言葉遣い。よく使われる決まり文句 次のページへ
4. 電話で良く使われる敬語 次のページへ
5. その他 次のページへ
  (会社にかかってくる迷惑電話・勧誘電話、クレーム電話の対応)

1.電話を受ける場合のポイント
 (電話の対応・電話の対応基礎編)

電話はコミュニケーションに欠かせない基礎的なツールです。特にビジネスでの電話は、あなたの電話の受け方ひとつで会社の印象が左右されます。顔の見えないやりとりだからこそ、電話の受け方は非常に重要です。
会社・職場での上手な電話の受け方のヒントとして、下記に電話を受ける場合のビジネスマナー(電話のマナー)の基本ポイントを挙げてみます。
電話の対応が苦手な人はぜひデスクに鏡を置いて、笑顔を心掛けながら電話応対してみてください。慣れるまで続けると、自然に心のこもった対応ができるようになります。
電話の受け方のビジネスマナー(電話の対応マナー 基礎編)
ビジネスマナー・電話のマナー解説
1. なるべく早く電話を取る
受信時は3コール以内で受話器を取る
 

なるべく早く電話をとりますが、電話を取るまでのコール回数によって応答を変えます。
【参考までに】
電話を取るまでに鳴ったコール音の数によって受け方を分ける例をご紹介します。

▼3コールまでで電話を受けた時
お早うございます。サンプル商事でございます
(AM11:00頃まで)
お電話ありがとうございます。サンプル商事でございます
(午前11時以降の時間帯)
▼3コール以上鳴ってしまったとき
お待たせいたしました。サンプル商事でございます
▼さらに数回鳴ってしまったとき
大変お待たせいたしました。サンプル商事でございます
2. 第一声は明るく
(1)第一印象は声で決まる
 あなたの声で会社の第一印象が決まります。
10歳くらい若くなったつもりで、少し声を高めに張り上げて、明るく元気な声で電話に出ましょう。
不機嫌な声や、聞き取りにくい話し方はNGです。
3. 重要な情報はメモと復唱を
(1)まずメモをとる
 先方の社名、氏名は必ずメモをとります。
(2)確認のため復唱する
 取り次ぐ場合でも、担当者が不在の場合でも、先方の社名、氏名を必ず復唱します。
「鈴木様でいらっしゃいますね。いつも大変お世話になっております」
「鈴木様でいらしゃいますね。いつもありがとうございます。」
(3)うやむやにしない
 相手の声が聞き取りにくい場合には、こんな言葉を使うと良いでしょう。
「恐れ入ります。少々電波状態が悪いようなのですが」
「恐れ入ります。少しお電話が遠いようなのですが」
「恐れ入りますが、少しお電話が遠いようなので、もう一度お願いいたします」
「恐れ入りますが、お名前を教えていただけますでしょうか」
「恐れ入りますが、お名前を教えていただけますか」
「恐れ入りますが、お名前をお伺いしても宜しいでしょうか」
[注意]下記の使い方は間違い。
「恐れ入りますが、お名前を頂戴できますでしょうか」
「頂戴する」はもううことをへりくだっていう語なのですが、この場合、名前をもらうわけではいのでこの使い方はNGです。よく使われることが多い誤りなので注意しましょう。

4.に続く

電話の受け方のビジネスマナー(電話の対応マナー 基礎編)つづき
ビジネスマナー・電話のマナー解説
4. 自分の周囲の人に対して声を出すときは必ず保留にする
(1)近くの人を呼ぶ時にも、必ず保留にしてから声を出す
 電話を取次ぐときは保留にしてから声を出します。
せっかくきれいな声で電話を取っても、急に地声になって
「佐藤さ〜ん、でんわ〜。」などの声が相手に聞こえてしまうのはNG。非常に聞き苦しいものです。
(2)社内で相談するときも、周りの人に何かを尋ねるときも、保留にしてから声を出す
 社内での相談ごとや、尋ねごとがすべて相手に聞こえてしまいます。声を出す時には必ず保留にしてから声を出します。
うっかり聞こえてしまう、悪い例
「◯◯さん、さっき出ていった?」
「すみませ〜ん。◯◯の注文が来ているんですけど、まだ在庫ありますか?」
「◯◯の件で電話が入ってるんですけど、わかる人いますか? 」
5.  相手を長く待たせない
(1)長く保留にしない
(2)たらい回しにしない
 
取り次ぐ場合
電話を取次ぐときも、担当者が電話を取るまでは電話から目を離さないようにします。もしなかなか電話に出られない場合には機転をきかせましょう。
▼折り返し電話をさせる
「恐れ入ります。少し時間がかかりそうなのですが、折り返しお電話を差し上げるようにいたしましょうか?」
▼別の担当者が代わりに用件を聞く
…この場合は同じ部署の人につなぐと良いでしょう。
「大変お待たせして申し訳ございません。佐藤は今、取り込んでいるようです。別の者でよろしければ代わりにご用件をお伺いいたしますが、いかがでしょうか?」

自分が応対する場合
自分が応対する電話を一旦保留にするときがあります。こうした場合にも、あまり長く保留にするのは失礼になります。
例えば… ・即答できない(考慮すべき)案件
・ 回答のための調べものが必要な案件、
・上司に相談して答えなくてはならない案件、
・社内で相談して答えなくては鳴らない案件
こうした場合、長くお待たせするよりも、かけなおす方が印象が良くなります。
▼折り返し電話をするとき
「恐れ入ります。少々お時間を頂戴したいのですが、折り返しお電話を差し上げてもよろしいでしょうか?」
「恐れ入ります。その件に関しましては折り返しお電話をさせていただくということでよろしいでしょうか?」

クレームの電話
受けた電話がクレームの場合には、相手をお待たせすること自体が更に先方に対して失礼になります。
 また、最初はクレームの内容でなくても、電話の対応者がお待たせしたり、たらい回しにする事によってそれがクレームにつながるケースもあります。
万一保留にする場合にも、すぐに会話をつなくようにしましょう。
 また、苦手意識を持つとそれが声に出て相手に伝わります。例えばクレームの電話を受けた際に急に暗いトーンになる、小さな声になるなどの応対をするオペレーターがいますが、正当な理由でかけている相手に対して正しい電話の受け方とは言えません。はっきりとした声で、落ち着いてきちんと受け答えをしましょう。
※参考…クレーム対応のページ>>>
6.に続く
電話の受け方のビジネスマナー(電話の対応 基礎編)つづき
ビジネスマナー解説
6. お詫びとお礼は気持ち良く
(1)笑顔は声に出る
(2)プラスアルファのひとこと
 受注や資料請求の電話などの場合、お礼の言葉で印象がかなり変わります。顔が見えなくても、笑顔での応対を心掛けましょう。
「ご注文ありがとうございます」
「お問い合わせありがとうございました」
上記の基本文以外に、
『何かご不明の点がございましたらいつでもご連絡ください』
「いつでもお電話下さい」
といった姿勢が大切です。
(3)お詫びははっきりと
 「恐れ入りますが」
「あいにく」
「申し訳ございません」
などの言葉ははっきりと伝えます。
◎担当者が帰宅してしまったとき
「あいにく本日は失礼させていただきました。 」
◎担当者が不在のとき
「申し訳ございません。あいにく外出しております。よろしければ連絡を取りまして折り返しお電話を差し上げるようにいたしますが、いかがでしょうか」
7. 会議中の電話は、急用のみ取り次ぐ
(1)担当者の意向を確認しておく
(会議に入る前に、電話の取次オーケーかどうかをまず確認)
 基本情報として、担当者が会議に入る前に、電話の取り次ぎの可否を確認しておきます。
「A社の榊原さんからの電話はつないでほしい」というようなことがあれば頭に入れておきます。
(2)急用かどうかを尋ねる
 担当者が会議中に電話がかかってきたら、急用かどうかを尋ねます。
「恐れ入ります。あいにく佐藤は会議中でございますが、お急ぎでしょうか?」
なお、先方が急用と答えた場合、
「もしお差し支えなければご用件を承りますがいかがでしょうか」
「代わりの者でよろしければ佐藤の部署の者におつなぎできますが、いかがでしょうか」
といった応対で、重要な会議中の担当者を呼び出さずにすみます。
8.に続く
電話の受け方のビジネスマナー(電話の対応 基礎編)つづき
ビジネスマナー解説
8.電話はやさしく切る
(1)電話はかけた方が切る
 
電話はかけた方が切るのが基本。

「失礼します」「それでは失礼いたします」などの言葉を使います。
受けた電話を切る時は、相手が切ったのを確認してからそっと受話器を置きます。
[受話器は優しく置く]
受話器を乱暴に置くとガチャガチャと機器が触れる音が先方に聞こえて耳障りなものです(乱暴に置いたつもりがなくても耳障りな音が相手に聞こえてしまうこともあります)。
電話を切るときは受話器を置くよりも指でフックを押して切る方が相手先に伝わる音が優しくなります。受話器は通話が切れてからフックに置きます。

余談ですが、電話応対が悪い会社、事業所、お店、役所、団体は
「◯◯◯に電話すると、いつも何回もたらい回しにされて、そのつど保留にされ長々と待たされたあげくに、結局きちんとした回答が得られない」などと言われるものです。
「◯◯◯に電話するといつも…」という言葉が使われるのは、もはやかなり重症で、大切なお客様や取引先を逃しかねない深刻な状態です。
 あなたの会社もこうした不名誉なレッテルを貼られることがないように、ふだんから電話応対のマナーについて職場で考えてみましょう。
★〈電話マナー〉ワンポイントメモ
・【会議中の電話の対応】
会議中に電話がかかって来た時には、内線で会議室を呼び出すよりもむしろメモを差し入れて 担当者の指示を仰ぎます。
・【担当者が戻ったら】
外出していた人、席をはずしていた人が戻ってきたら、「さきほどお電話がありましたよ」とか、「さっき電話が入ってましたよ」など、一声かけてあげると良いでしょう。伝言メモをデスクに貼っておいても担当者がそのまま会議室に入ってしまったりなど、すぐにメモを見ないケースもあります。
・【秘書の電話の受け方に学ぶ】
秘書の大切な仕事の一つ、電話応対を大きく分けると
電話をかける、電話を受ける、電話をつなぐ、があります。
この中で特に注目したいのが「電話をつなぐ」です。相手からかかってきた電話に対して秘書は担当役員が「在席か不在か(いるのかいないのか)」を、(相手によっては)簡単には伝えないというのが大切な業務の一つです。
[以下は佐藤専務の秘書の応対例]

★電話が鳴る
秘書「お電話ありがとうございます。見本商事 秘書室でございます。」
先方「サンプル物産の鈴木と申します。いつもお世話になっております。佐藤専務はいらっしゃいますか?」
秘書「サンプル物産の鈴木様でいらっしゃいますね。いつもお世話になっております。少々お待ちくださいませ」(保留にする)
→この時点では佐藤専務の所在を明らかにしていません。 佐藤専務の意向を尋ねます。
秘書「お早うございます。サンプル物産の鈴木様からお電話が入っておりますが、おつなぎしてもよろしいでしょうか?」
佐藤専務「鈴木さんね。つないで下さい」
秘書「承知しました。」

秘書「大変お待たせいたしました。ただいま佐藤におつなぎいたしますのでお話し下さい」

上記は秘書の応対例ですが、場合によっては相手の会社名、お名前だけでなく要件も伺った上で、上司に取次いでも良いかどうかを打診します。
秘書が受ける役員あての電話以外の一般の電話でも、場合によっては「担当者の所在」を伝えないほうが良いケースがあります。ケースバイケース、臨機応変に対応しましょう。 

2.電話の受け方と手順(マニュアル・応用編)電話応対の基本

上記では、電話の受け方のポイントについてご説明いたしました。
ここからは、実際に電話を受けることを想定して電話の対応の手順を追ってみましょう。
相手を思いやる気持ち(明るい応対、待たせない)と、用件をきちんと理解する(大事な内容は復唱、メモ)、の2点を守れば正しい電話の受け方のコツが理解できるはずです。

電話を受ける場合の例(受け方と手順)
[担当者が社内にいる場合]
ステップ先方の対応あなたの対応
1.電話がつながったら
 「お電話ありがとうございます。サンプル商事でございます。」
2.先方が名乗る
「見本物産の高橋と申します。

※この時の応対には3通りある。

「いつもお世話になっております」
「お世話になっております」
「見本物産の高橋様ですね、いつもお世話になっております()」
はこの時または、下記の3の★で、先方の所属と名前を復唱します。

3.ふだんの取引きについてのお礼の挨拶
「いつもお世話になっております」 
 「見本物産の高橋様でいらっしゃいますね。★」
「(こちらこそ)いつもお世話になっております」
4.先方が呼び出して欲しい人を告げる
「製造部の山本課長はいらっしゃいますか?」 
5.復唱してから電話をつなぐ(取次ぐ・取次)
 「製造部の山本でございますね。かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
[担当者が電話中の場合]
ステップ先方の対応あなたの対応
1.電話がつながったら
 「お電話ありがとうございます。サンプル商事でございます。」
2.先方が名乗る
「見本物産の高橋と申します。

※この時の応対には3通りある。

「いつもお世話になっております」
「お世話になっております」
「見本物産の高橋様ですね、いつもお世話になっております()」
はこの時または、下記の3の★で、先方の所属と名前を復唱します。
3.ふだんの取引きについてのお礼の挨拶
「いつもお世話になっております」 
 「見本物産の高橋様でいらっしゃいますね。★」
「(こちらこそ)いつもお世話になっております」
4.先方が呼び出して欲しい人を告げる
「製造部の山本課長はいらっしゃいますか?」 
5.電話中であることを伝え、折り返し電話をかける形でも良いか尋ねる。
 「申し訳ございません。あいにく山本が他の電話に出ております()。
少し長くなりそうですので、おさしつかえなければ折り返しお電話を差し上げるよう申し伝えたいと存じますがいかがでしょうか。」
6.につづく
6.先方が答える
「それではお願いします。」 
7.電話番号をたずねる
 「恐れ入りますがご連絡先をお伺いできますでしょうか」
8.先方が連絡先を告げる
「00-0000-0000です。」 
9.社名、氏名、電話番号を復唱し、お礼を言う
 「確認のために復唱させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「見本物産の高橋様でいらっしゃいますね。お電話番号は00-0000-0000ですね?」
「かしこまりました。それでは山本に申し伝えます。」
10.先方が答える
「それではよろしくお願いします。」 
11お礼を述べて電話を切る
 「かしこまりました。失礼いたします。」
相手が切ってから電話を切ります。

[担当者が他の電話に出ている場合について]2015.4.17加筆
・これまでこのページでは電話をかけてきた相手に、担当者が他の電話に出ていることを伝える場合の対応例として、
「申し訳ございません。あいにく山本が他の電話にかかっております」という言葉遣いを紹介して参りました。

 この文言を掲載していた理由は、事務局スタッフが職場で「あいさつと電話応対マナー」に関する書籍のページをコピーしたものを何度も復唱する社員研修を受けており、その時に用いた書籍のコピーに掲載されていた例文が、この文章だったからです。
 電話はかけるものでは?…いえいえ、「電話をかける」を誤って遣っているわけではなく、掛かるの意味の中にある「従事する、着手する、取りかかる。その人(もの)と何らかの交渉を持つ」の意味で用いるもの、しかもこの使い方こそがビジネス用語…と理解して紹介して参りました。

 しかし一般的なビジネスシーンでは「他の電話にかかっております」はあまり用いられないようです。利用者の方からご指摘を受けましたので上記の例文「あいにく他の電話に出ております」に書き直しました。

 事務局では「他の電話にかかっております」という言葉づかいも誤りだと判断したわけではありませんが、広く用いられている用例に訂正をさせて頂く事に致しました。ご了承下さい。

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   ④社内電話・社内同士の電話 次のページへ
3. 電話でよく使われる言葉・言葉遣い。よく使われる決まり文句 次のページへ
4. 電話で良く使われる敬語 次のページへ
5. その他 次のページへ
  (会社にかかってくる迷惑電話・勧誘電話、クレーム電話対応)
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