電話のかけ方のビジネスマナー》一般的によく使われる言葉

電話の応対は、社会人としての基本中の基本です。特にビジネスシーンの場合は、電話の話し方(電話でのあなたの話し方)ひとつで会社・企業の印象が左右されます。特に営業の業務の場合には電話の受け答えや電話対応は非常に大切です。
このページでは電話をかける場合の注意点とポイントをはじめ、話し方や対応(電話のマナー)、電話の受け答えのマニュアル.、電話でよく使われる言葉遣いや敬語などを紹介します。

………「電話のかけ方・電話応対」のページの内容………
1. 電話をかける場合のポイント
2. 電話のかけ方と手順(マニュアル)
3. 電話で使われる決まり文句
4. 電話で良く使われる敬語
※電話の受け方のマナーや応対例、迷惑電話の対応などは別ページ>>
[参考ページ]
・お悔やみの言葉(電話でお悔やみを伝える)>>>

1.電話をかける場合のポイント

電話は顔の見えないやりとりです。特にビジネスでの電話は、あなたの電話ひとつで会社・企業の印象が左右されます。
下記に電話をかける場合の基本ポイントをあげてみます。
新入社員の皆さんは、先輩が電話をかける際に、良く耳を澄まして受け答えを参考にしてみるのもおすすめです。
なお、電話応対例(正しい電話の受け方)は、別ページでご紹介しています(会社にかかってくる迷惑電話の対応方法もこちらです。)>>>
電話のかけ方のビジネスマナー
(電話のかけ方マナー基礎編)
ビジネスマナー解説
1.用件は簡潔に
(1)時は金なり
 

先方もこちらも、限られた時間の中で業務をしています。
電話をかける前に、あらかじめ用件や内容をまとめておいたり、箇条書きにしておくと良いでしょう。

(2)電話は有料
 電話も有料であることを忘れるべからず。長くなると経費がかさみます。長く待たされるような場合には、かけなおすなど工夫をしましょう。
2.タイミングを選べ(電話をかける時間帯に配慮を)
(1)朝一番は避ける
 急用や重要な用件の場合以外は朝一番は避けましょう。始業時には、先方も朝礼や事務連絡などで忙しい時間帯です。できるだけ始業から10分くらいは電話の発信は避けましょう。
どうしても朝一番に電話をかけざるを得ない場合には
「朝早くからすみません。」
「お忙しい時間帯に申し訳ありません」
などと一言そえます。
(2)時間外は避ける
 緊急の場合以外は、昼休みや営業時間外に電話をするのは避けましょう。休憩は必要です。当人が不在の場合には、電話を受けた人に迷惑がかかります。円滑な人間関係のためにも時間外にはなるべく電話をしないようにします。
どうしても昼休みや時間外に電話をかけざるを得ない場合には
「昼休み中に申し訳ありません。」
「時間外ですがよろしいでしょうか」
などと一言そえます。
(3)帰宅間際は避ける(帰宅間際の時間帯は避ける)
 先方がどの程度の残業をする人物なのかがわからないうちは、終業時間ギリギの電話はなるべく避けた方が無難です。
退社時刻前の電話は嫌われることがあります。
特に託児所に子どもを預けている女性社員などは、退社時刻に非常に敏感です。配慮するようにしましょう。
電話のかけ方のビジネスマナー
(電話のかけ方マナー基礎編)つづき
3.事前準備は万全に
(1)先方の情報を確認しておく
 基本情報として、先方の電話番号、社名、部署名、役職名、名前の読み方はきちんとおさえておきましょう。
(2)内容をまとめておく
 電話をかけてから資料を探したりすることの無いように、用件に関する資料はデスク上に準備します。
話の内容をあらかじめ頭に入れてから電話しましょう。
4.電話はやさしく切る(電話の切り方のマナー)
(1)電話はかけた方が切る
 電話はかけた方が切るのが基本。
切り方…切る時は、受話器をガチャンと置くのはNG。相手に不快な感じを与えてしまいます。
静かにそっと受話器を置けば良いのですが、丁寧にしたい場合には空いているほうの指でフックを押さえ、通話が完全に切れたことを受話器からの音で確認してから受話器を置きます。
(2)相手がお客様の場合には、先方が切ってから切る
 こちらからかけた電話であっても、相手がお客様の場合には、相手が切ったのを確認してから電話を切ります。

2.電話のかけ方と手順 (正しい電話のかけ方マニュアル)

上記では、電話のかけ方のポイント(電話のかけ方マナー)についてご説明いたしました。
ここからは、実際に電話をかけることを想定して手順を追ってみましょう。コツさえつかめば難しいものではありません。落ち着いて用件を伝えられるように練習してみると良いと思います。

電話のかけかたと手順 (ケース別の手順)

1.相手の会社の人が出たら
あなたの対応
1.まずは名乗る
『サンプル物産営業部の佐藤と申します。
2.ふだんの取引やご利用、ご交誼ご支援に対するお礼を述べる
いつも大変お世話になっております。
3.次に相手の所属部署、氏名と肩書きを告げる
「製造部の山本課長はいらっしゃいますでしょうか?
ケースあなたの対応や言葉(話し方・受け答え)
a.不在の時
b.会議中の時
c.相手につないでもらったら の3つのケースの電話のマナーを解説
a.不在の時
自分の用件または、営業の電話なら……
1.戻り時刻を尋ね、
2.電話をかけ直す旨を伝えて電話を切る。

お戻りは何時頃のご予定でしょうか?」
「それでは改めてこちらからご連絡を差し上げます。ありがとうございました。」
先方の用件で電話をしたなら……
1.先方からの用件であることを伝え、
2.折り返し電話を欲しい旨を伝え、
3.社名,氏名,電話番号を伝え、
4.お礼を述べて電話を切る。

「山本様からお電話を頂いたようなのですが、お戻りは何時頃のご予定でしょうか?」
恐れ入りますが、お電話を頂きたい旨を、お伝えいただけますでしょうか。私はサンプル物産の佐藤と申します。電話番号は○○…です。」
「それではよろしくお願いします。ありがとうございました。」

電話のかけかたと手順 (ケース別の手順)つづき

ケースあなたの対応や言葉(話し方・受け答え)
b.会議中の時
 自分の用件または、営業の電話なら……
1.会議の終了時刻を尋ね、
2.電話をかけ直す旨を伝えて電話を切る。

「会議は何時までのご予定でしょうか?」
「それでは改めてこちらからご連絡を差し上げます。ありがとうございました。」
先方の用件で電話をしたなら……
1.先方からの用件であることを伝え、
2.折り返し電話を欲しい旨を伝え、
3.社名,氏名,電話番号を伝え、
4.お礼を述べて電話を切る。

「山本様からお電話を頂いたようなのですが、会議は何時までのご予定でしょうか?」
恐れ入りますが、お電話を頂きたい旨を、お伝えいただけますでしょうか。わたくしはサンプル物産の佐藤と申します。電話番号は00-0000-0000です。」
「それではよろしくお願いします。ありがとうございました。」
c.相手につないでもらったら
 自分の用件または営業の電話なら……
1.相手の所属部署,役職,氏名をもう一度確認する
2.自分の社名,部署名,氏名を名乗る
3.ふだんの取引やご利用、ご交誼ご支援などに対するお礼を述べる
4.相手の都合を尋ねる
5.用件を要領よく簡潔に伝える。
6.お礼を述べて電話を切る

1「山本様でいらっしゃいますか?」
2「わたくしはサンプル物産の佐藤と申します。」
3「いつもお世話になっております」
4「山本様、今、3分ほどお時間を頂戴してもよろしいでしょうか」
5.(用件を伝える)
6「お時間を頂戴しまして、ありがとうございました。それでは失礼いたします」
先方の用件で電話をしたなら……
1.相手の所属部署,役職,氏名をもう一度確認する
2.自分の社名,部署名,氏名を名乗る
3.ふだんの取引やご利用、ご交誼ご支援などに対するお礼を述べる
4.先方からの依頼で電話をしたということを伝える。
5.用件を尋ねるまたは回答をする。
6.お礼を述べて電話を切る

1「山本様でいらっしゃいますか?」
2「わたくしはサンプル物産の佐藤と申します。」
3「いつもお世話になっております」
4「山本様、さきほどお電話を頂戴したようですが」
5.(用件を伝えるまたは回答する)
6「それではよろしくお願いします。ありがとうございました。」
電話のかけかたと手順 (ケース別の手順)つづき
2.本人が直接電話に出たら (携帯電話にかけた場合も含む)
あなたの対応
1.まずは名乗る
『サンプル物産営業部の佐藤と申します。」
2.ふだんの取引やご利用、ご交誼ご支援に対するお礼を述べる
いつも大変お世話になっております。」
3.次に相手の所属部署、氏名と肩書きを確認する
「見本商事製造部の山本課長でいらっしゃいますか?」
ケースあなたの対応や言葉(話し方・受け答え)
a.自分の用件または営業の電話なら
b.先方の用件で電話した場合 の2つのケースについて解説
a.自分の用件または営業の電話なら
 
1.相手の都合を尋ねる
2.用件を要領よく簡潔に伝える。
3.お礼を述べて電話を切る

1「山本様、今、(3分ほど、少しだけ)お時間を頂戴してもよろしいでしょうか」
2.(用件を伝える)
3「お時間を頂戴しまして、ありがとうございました。それでは失礼いたします」
b.先方の用件で電話した場合
 
1.先方からの依頼で電話をしたということを伝える。
2.用件を尋ねるまたは回答をする。
3.お礼を述べて電話を切る

1「山本様、さきほどお電話を頂戴したようですが」
2.(用件を伝えるまたは回答する)
3.「それではよろしくお願いします。ありがとうございました。」
★ワンポイント
1.親しい間柄なら折り返し電話を頂くようにお願いしても良い
先方と親しい場合には、相手から折り返し電話をかけてもらうようにお願いしても良いでしょう。
何度電話をかけても相手が不在という場合には、先方の会社の同僚の人が「こちらから電話をさせましょうか」と言って下さる場合もあります。用件によっては、お言葉に甘えて相手の方からかけてもらうようにお願いしても良いでしょう。ただし、自分がお願いするような用件の場合は「いえ、こちらから改めます」と、お断りします。
2.「いつもお世話になっております」は常套句
下記にて改めてご説明しています。

3.電話で使われる決まり文句・電話で良く使われる言葉(電話での受け答えと話し方)

電話には、良く使われる常套句があります。
(常套句=じょうとうく。同じような場面で決まって用いられる言葉。決まり文句のこと)
これらの言葉をうまく使えるようになるコツは、実際に使ってみることです。特に電話での会話の冒頭に行われるいくつかのやりとりには常に決まり文句を使うことになります。
下記に、電話の応対の例をいくつかご紹介しましょう。
電話で良く使われる言葉
言葉良く使われるシーンや使い方
・いつもお世話になっております。
 1.こちらが名乗ったあとに続けて言う。
(例)サンプル商事の佐藤と申します。いつもお世話になっております。
2.相手が名乗ったら、相手に対する礼儀として使う。
(例)佐藤様、いつもお世話になっております。
3. 相手がこの言葉を言ったら、それに呼応する言葉として使う。
(例)こちらこそいつも大変お世話になっております。
・恐れ入りますが〜でしょうか?
・恐れ入りますが〜ますか?
 1.確認する
(例)恐れ入ります。山本様でいらっしゃいますか?
2.尋ねる、質問する
(例)恐れ入りますが、山本様はいらっしゃいますでしょうか?
3.依頼する、お願いする
(例)恐れ入りますが折り返しお電話を頂けませんでしょうか?
(例)恐れ入りますが、ご伝言をお願いできますでしょうか?
・お時間を頂戴してもよろしいでしょうか?
 1.自分の用件で、お客様または目上の人に電話をかけ、相手の都合を尋ねるとき
(例)山本様、今、3分ほどお時間を頂戴してもよろしいでしょうか?
2.返答に関して相手を待たせる時
(例)この件に関しましては少々お時間を頂戴してもよろしいでしょうか?
・お時間を頂戴して申し訳ありませんでした。
 1.自分の用件で、お客様や目上の人にかけた電話を切るとき
(例)本日は長々とお時間を頂戴して申し訳ありませんでした。
2.相手を待たせてしまったとき
(例)山本様、お時間を頂戴して申し訳ありませんでした。

電話で良く使われる言葉(つづき)

※ワンポイント1
部下が受けたクレームの電話を途中で代わって出たことがあります。相槌(あいづち)の打ち方が悪いとお叱りを受けた部下がおりました。受け手の雰囲気や言葉のニュアンスは必ず相手に伝わるものです。先方に失礼がないようにしましょう。
また、電話の応対が上手な人は必ず営業成績も良いものです。話し方や電話の受け答えなど、基本的な電話の応対はぜひ職場で何度も練習してください。
※ワンポイント2
人事・採用を担当していた時のことです。応募書類の書類選考で選んだ相手に面接試験の日時を知らせようと電話をかけたのですが、応募者の電話の応対があまりにも悪かったので、とっさに面接をとりやめにした事が一度だけありました。…結局、別の応募者を面接しました。
おそらく筆者のような人事担当者は他にもいると思います。電話の応対は非常に大切で、その企業・会社の印象を左右するものになるからです。履歴書や応募書類ではわからないことですが、入社後のその人の電話応対や態度を想像してしまうことは他企業の人事担当者にも起こりうると思います。
電話での印象は企業の印象を決めてしまうほど大切なことなのです。
※ワンポイント3
「もしもし」という言葉について(もしもしの使い方)…
もしもしという言葉はビジネスシーンの電話ではあまり使わないとされます。確かに電話を受ける時には以下のように受けるのが一般的です。
 「お電話ありがとうございます。サンプル商事でございます。」
 「お世話になっております。サンプル商事でございます。」
 「はい。サンプル商事でございます」
 「はい。お電話代わりました「鈴木」でございます。」
などの言葉が代表的な例です。
逆に「もしもし」は全く使わないかというとそんなことはありません。
例えば携帯電話の電波状態が悪くて、途切れそうになっている時、あるいは電話の音声が遠くて聞き取りにくい時などには、ビジネスシーンでも「もしもし」を使います。
 「(もしもし)、恐れ入ります。聞こえますでしょうか?」
呼びかけの言葉としてこれに代わる言葉はなかなか見つかりません。臨機応変に、相手に対して失礼がないように使えばOKなのです。

4. 電話で良く使われる敬語

 

次に、電話での会話で良く用いられる敬語について、いくつかご紹介します。以下の3つを頭に入れておきましょう。
1.相手や相手の会社、相手の所有物、相手の考えや行動には尊敬語を用いる
2.自分や自分の会社、自分の所有物、自分の考えや行動には謙譲語を用いる
3.基本的に丁寧語で会話する

●自分が所属するものと、相手が所属するものに対する表現を身につけましょう。
・相手や相手の所有物を敬う表現の時には、「貴」「御」などをつける場合が多く、 自分や自分の所有物をへりくだって使う表現のときには、「小」「拙」「弊」などをつけます。
もとになる言葉尊敬語に変換した例謙譲語に変換した例
相手の会社貴社、御社 
自分の会社、当社 弊社、小社
※従来無かった言葉としては(新語と言えるかどうかはわかりませんが)、相手のホームページをあらわす言葉として「貴サイト」「貴ホームページ」などという表現を用います。電話だけでなくメールでのやりとりや、打ち合わせや書面などで使用してみて下さい。
●ビジネスシーンで良く使用する代表的な表現の例
もとになる言葉敬語に変換した例備考
山本さんはいますか?
 山本さんはいらっしゃいますか?
山本さんはいらっしゃいますでしょうか?
山本さんはおいででしょうか?
山本さんはおいでになりますか?
居る→いらっしゃる
居る→おいでになる
山本さんはいつ来ますか?
 山本さんはいつおこしになりますか?
山本さんはいつおいでになりますか?
山本さんはいつおこしでしょうか?
山本さんはいつおいででしょうか>
来る→おこしになる
来る→おいでになる
電話をもらえますか?
 (お)電話を頂けますか?
(お)電話を頂けますでしょうか?
もらう→頂く
もとになる言葉敬語に変換した例備考
会いたいのですが
 お目にかかりたいのですが
お会いしたいのですが
会う→お目にかかる
会う→お会いする
あなたの会社を訪問したい
 貴社に伺いたいあなたの会社→貴社
訪れる、訪問する→伺う
資料を見てくれましたか?
 資料をご覧頂けましたか?
資料をご覧頂けましたでしょうか?
資料をご覧下さいましたでしょうか?
見る→ご覧になる
〜してくれる→〜して頂ける、〜して下さる
もとになる言葉敬語に変換した例備考
(あなたの会社の資料を)読んだ、見た
(あなたの意見を)聞いた
 (貴社の資料を)拝読しました。
(貴社の資料を)拝見しました。
(あなたの意見を)拝聴しました。
読む→拝読する
見る→拝見する
聞く→拝聴する
話を聞きたい
意見を尋ねたい
 (お)話を伺いたい
ご意見を伺いたい
聞く→伺う
問う、尋ねる→伺う
(見積り)が欲しい
(時間)が欲しい
 (見積)を頂きたい
(時間)を頂きたい
(見積)を頂戴したい
(時間)を頂戴したい
欲しい→頂きたい
欲しい→頂戴したい
●上記のような敬語表現以外に、ビジネスの電話では下記のような言葉も
良く用います。下記はビジネス電話の応対で良く使われる言葉です
良く使われることば備考
アポ
アポを取る。
アポを取りたい。
・アポイントメントの略。
・appointment【英】=面会の約束、予約。
・面会の約束をする。
・面会の約束をしたい。予約を入れたい。
明日(みょうにち)
明後日(みょうごにち)
・あす、あさってと言わずに、
「みょうにち」「みょうごにち」と言う
失礼いたします・電話を切るときに良く使います
[担当者が帰宅してしまったとき]
あいにく本日は失礼させていただきました。
・他の人あてに電話がかかってきたとき、その人がすでに帰宅してしまった後だった時に使う表現。
・よく使われる良くない例…「あいにく退社いたしました」
(「退社」は、帰宅なのか退職なのかがわかりづらく、混同されやすい表現です。)
なお、電話応対例(正しい電話の受け方)は、別ページでご紹介しています
(会社にかかってくる迷惑電話の対応方法もこちらです。)>>>