退職願の書き方のページ。「退職願」とは、会社の指示や命令ではなく、自分の意志で会社を辞めるときに会社に提出する書類のことをさします。会社から解雇された場合、あるいは退職勧告を受けた場合や、契約期間満了等による退職の場合にはあてはまりません。 このページでは退職願の書き方の文例と書式や円満退職のためのマナーをご紹介します。
なお、定年退職の場合について解説する項目も追加しました。
目次
1.退職願とは? |
「退職願」とは、その人が会社の指示や命令ではなく、自分の意志で会社を辞めるときに、会社に提出する書類のことをさします。 例えば転職のための退職、資格取得のための退職、結婚のための退職など、本人の事情や理由で会社を辞めるときに、事前に会社に提出するものです。 (公務員の退職願は「辞職願」……公務員が自らの意志で職を辞す際には、辞職の意思表示ということで、「退職願」という言葉を使わず「辞職願」となります。罷免や免職と区別されます) 会社の指示や命令の代表的なものを下記に挙げます。 この場合は退職願は必要ありません。 ・人員削減(リストラ)、業務縮小などにより退職をすすめられた場合 ・職務規定に違反し、退職勧告を受けた場合 ・懲戒免職、懲戒解雇などの懲罰を受けた場合 ・職務遂行能力が不足しているとの判断に基づき、解雇を宣告された場合 ・あらかじめ期間を定めた試用期間中に、解雇を宣告された場合など なお、 下記のような場合も、退職願は必要ありません。 ・契約期間を定めた就労の、期間満了によるもの。 ・倒産や事業清算など、事業主の都合(会社都合)による解雇の場合も、退職願は必要ありません。 ※退職願と退職届の違い 退職願とは別に、会社によっては所定の届け出用紙「退職届」として書類やフォームを準備している場合もあります。退職届は、退職願いが認められた上で社内での手続き上必要な書類として用いられます。また、会社側からの(会社都合による)勧奨退職の場合に「早期退職届」「早期退職申出書」といった名称の書類を提出することもあります。 こうした退職届の雛形および退職届の書き方は別ページで説明しています。>>> |
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2.退職を申し出る時期…円満退職のために |
◎通常、会社の就業規則では、退職の一カ月前に申し出るように記載されている場合が多いようです。 民法の規定では少なくとも二週間前に提出するように義務づけられていますが、できるだけ円満に退職するためには(業務の引き継ぎや後任を決める人事のこともあるため)、まずは直属の上司に相談しましょう。 特に、結婚のための退職、出産のための退職などの場合は、円満退職を心掛けましょう。 ★(提出する前に)上司に相談→(就業規則に従い1カ月前に)退職願を提出→退職 というプロセスをおすすめします。 ◎会社から引き止められた場合は? ・会社は社員が提出した退職願を拒否できませんので、民法627条第1項の規定により、(時給、日給制の社員の場合)申し入れから2週間が経過すれば、退職は成立することになっていますが、月給制の正社員の場合は、民法に抵触しなければ、会社の就業規則が優先されます。 なお、退職する時は、社員(労働者)の側も、きちんと「業務の引き継ぎ」を行わなくてはなりません。 ・参考…民法627条第1項 雇傭ハ解約申入ノ後2週間ヲ経過シタルニ因リテ終了ス ◎契約社員の退職について ・期間の定めがある契約社員の場合には、契約期間中の退職は原則として認められず、場合によっては契約違反となります。 但し、事業主が契約時に締結した条件を守らないときや、本人の死亡、疾病、家族の看護などのやむをえない事由があると認められる場合には、期間満了前に退職が可能です。 ◎パート社員の退職について ・雇用期間を定めた就労の場合のパート社員では、期間満了での退職では退職願は必要ありません。但し、民放628条の規定によりやむを得ない事情がある時には途中であっても直ちに契約を解消することができます。逆に、やむを得ない事情が認められる場合にのみ、期間満了前に退職が可能です。 |
退職のしかた | |
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項目 | 退職までの流れ |
1. 「退職したい」という意向を上司に伝える。 | |
・申し出る時期…通常は1ケ月前(〜3ケ月前)程度。 ・円満に退職するためには、できるだけ早めに直属の上司に申し出ます。(結婚のための退職などの場合には、3ケ月前くらいに申し出るのがおすすめ) ・申し出るときに、 「○月末頃をめどに考えていますが、業務の引き継ぎもありますので、具体的な日取りは決めていただいて結構です」 というと、 かなり円満なかたちになります。 | |
2. 退職日を上司と相談して決定する。 | |
・時期…通常は1ケ月後くらいがめやすです。自分の都合だけを主張せず、業務の引き継ぎ期間も考慮しましょう。 ・もし、転職先が決まっている場合には、率直にその旨を直属の上司に伝えます。具体的な再就職の日取りが決定している場合には、それも伝えましょう。 但し、最低でも二週間は在籍し、業務の引き継ぎをきちんと行なうのが社会人としてのマナーです。 ・まわりのスタッフおよび社内に、あなたが退職することをオープンにする時期については、上司に一任しましょう。 | |
3.につづく |
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退職のしかた つづき | |
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項目 | 退職までの流れ |
3. 退職願を提出する。 | |
・時期…退職日が決まってから提出します。社内の手続きにもかかわるのであまりギリギリではないほうが良いでしょう。上記の2のときに、上司に提出時期を相談すると良いと思います。 ・退職願の書き方は、このページの次の項でサンプルを使って説明しています。 会社によっては、決まった書式の届け書を用意しているところもあります。 | |
4. 後任人事、業務の引き継ぎ | |
・会社が後任を選出してくれます。 ・まずは、あなたが担当している業務を箇条書きにします。 1) 項目ごとに漏れがないようにチェックをしながら業務の引き継ぎをする。 2)あなたがいなくなってもわかるように、必要ならマニュアルを作成する(操作方法、管理方法など)。 3)自分がかかわった業務のデータ、書類などは、だれが見てもわかるように整理・分類をしておく。 4)取引先の名刺を分類し、後任に説明する。 また、 必要な取引先には、後任のスタッフを同行し、紹介する。 | |
5. デスク周りの片づけ、整理 | |
・私物と会社のものを分類します。 ・廃棄する場合は、必要に応じてシュレッダーにかけるなど、情報の保護、管理に留意しましょう。 ・パソコンのデータは特に留意が必要です。後任者にデータを渡したもの以外は、削除しましょう。 私物のパソコンを業務で使用している人は、トラブルを避けるためにも業務データは完全に削除することをおすすめします。 ・メール、メールアドレスなどの管理にも細心の注意を払うようにしてください。 ・退職時に、名刺ファイルは会社に置いていくことになるので、退職後、挨拶状を送付したい相手の名刺はコピーしておきましょう。 (コピー前に、上司にコピーの許可を得ることをおすすめします) | |
6. 退職 | |
・社内をまわり、お世話になったお礼の挨拶をして退社します。 ・健康保険証、 社員証、定期乗車券、鍵(キー、セキュリティーカード)などは会社に返却をします。 ・雇用保険被保険者証を受取ります。再就職先に提出します。また、再就職しない場合には、失業保険の手続きに必要です。 ・離職表を受け取ります。離職表は後日郵送される場合もありますので受取方法を事前に確認しておくと良いでしょう。失業保険、雇用保険関係の手続きのために必要です。 雇用保険については、アルバイトやパート社員など、労働時間が短い等の理由で雇用保険の被保険者となっていないケースでは、発行されません。 [その他] ・会社が年金手帳を預かってくれている場合もあります。そのような場合は必ず返却してもらいましょう。 ・源泉徴収表が必要な人は、交付を依頼し、発行される時期を確認しておくと良いと思います。再就職先に提出します。 |
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退職のしかた つづき | |
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項目 | 退職までの流れ |
7. その他 | |
・退職に関連して事務局からのアドバイスを書きます。 【退職願を提出した後の再就職活動は】 ・前職についているうちは、できるだけ業務の引継ぎなどを誠実に行うために残りの日を費やすことをおすすめします。 どうしてもやむをえず就職活動のために時間を割く場合には、休暇を取るか、必要な時間のみ外出するのかといったことも含めて、上司に率直に申し出て許可を得るようにしましょう。受け入れ側の企業のほうも、前職できちんと円満に退職してきた人材を望むはずです。 【退職願を提出した後の休暇取得】 ・残った有給休暇をすべて消化して辞めるというのが慣例になっている職場もあるようですが、事務局としては心情的にあまりおすすめしません。 上司から「君はよく頑張ってくれたから最後くらいは休んでいいよ」と言われるようなケースは別ですが、退職前の休暇取得はほどほどに、が美しいと思います。 | |
※退職送別会での、退職時の挨拶やスピーチ文例はこちらへ>>> |
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3.退職願を書いてみよう(正しい退職願の書き方) | |
退職願の書類(退職願の用紙)は、お店では売っていません。基本は手書きです。黒インクのボールペンまたは万年筆で、縦書きの便箋に丁寧に手書きします。 もし書き間違えた場合は、もったいないからと修正したりせずに、新しい紙に最初から書き直します。 【退職願と退職届】 ところで、退職願とは別に、会社によっては所定の届け出用紙(「退職届」といった書類やフォーム)を準備している場合もあります。退職届は、退職願が認められた上で社内での手続き上必要な書類として用いられます。こうした社内手続きのための届け出書類はパソコンで作成されています。(上記以外のケースとしては、早期退職を勧奨された場合に提出する早期退職届のような書式もあります。) このページでは退職届の雛形および退職届の書き方は省略していますので、退職を申し出た時に、上司に提出書類を確認してください。 | |
※退職届のページを作りました。文例やテンプレートなどを紹介しています(2010.8)。 無料でお使いいただけますのでご参照下さい>> |
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4.退職願の書き方、辞職願いの書き方の書式と例文(見本画像あり) |
退職願書式(フォーマット)には決まりはありません。一般的な例をご紹介します。 下記の退職願書き方の見本画像の青数字をクリックすると説明にジャンプします。 |
【退職願の書き方 手書き見本】 |
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5.退職願の提出のしかたと封筒の書き方 |
退職願を書き終えたら、内容に誤りはないか、書き間違えや誤字は無いかをチェックします。もし、ミスをみつけた場合は新しい便箋に書きなおします。 |
1. 封筒 |
退職願を提出する場合の封筒の大きさは、白の無地の長形封筒(定型封筒)が良いでしょう。 慣例として、長形4号サイズ(いわゆる和封筒サイズ)を用います。 |
名称 | 大きさのめやす | サイズ |
長形封筒 長形4号(定型) | B5三ツ折りの大きさ | 90×205mm |
長形封筒 長形3号(定型) | A4三ツ折りの大きさ | 120×235mm |
・和封筒に入れるときの便箋の折り方(書類の折り方) 読む人が開いたときにすぐに読み始められるように、書き出しがすぐ目に入るように折りたたみます。 ▼横に三つ折りにしてちょうど入る大きさの場合 先に下から三分の一のところで、上に向かって折る。 次に上から三分の一のところで、下に向かって折る。 ▼もし、四つ折りにする場合には 先に下から半分のところで、上に向かって折る。 次に、さらに半分のところで、下から上に向かって折る。 |
2. 封筒の宛名書き |
(1)表面の中央に、黒いペン(または毛筆) で、退職願 と書きます。 一般的には「辞表」とは書きません。 ※ 公務員の退職願は「辞職願」……公務員が自らの意志で職を辞す際には、辞職の意思表示ということで、「退職願」という言葉を使わず「辞職願」となります。罷免や免職と区別されます ※「辞表」という表現について……これは明文化されているわけではありませんが、辞表という表現は役員・取締役以上の人が使用する言葉と言われています。社員を雇用し、使用する立場の人が使う言葉が「辞表」という説です。一般社員は「退職願」という言葉を使います。 (2)裏面の左側に自分の所属部署名、氏名を書きます。 |
3. 退職願を提出する |
直属の上司に提出します。 ・まわりのスタッフおよび社内に、あなたが退職することをオープンにする時期については、上司に一任しましょう。 |
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【はみだし知識1】 身上書は、お見合いの際に経歴や家族構成についての説明を記載したもので、自己紹介状の一種です。 「つりしょ」とも言われ「釣書」と書くことが多いようです。身上書の書き方記入例はお見合いのページでご説明しています。>>> 【はみだし知識2】 雇用証明書は、例えば保育所などに対して、就労中であることを証明するために提出する書類です。その他に市営住宅の申し込みなどにも提出が必要な場合があります。 これに対し、退職証明書とは、退職(自己都合退職、解雇等)の際に、労働者が使用者に対して発行を請求できる書類です。記載内容は、試用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金、退職の理由などです(労働基準法第22条にて規定されています)。この書類も、例えば退職者が再就職の際に役立てることができるほか、被扶養者になる際の手続きや、国民健康保険や国民年金に加入する際の手続き、市営住宅の入居申し込みの際などに必要な場合があります。 |
6.定年退職の場合の退職願 |
もともとの退職願の定義からすれば、就業規則で定める定年まで勤めあげた場合には退職願(定年退職願)を出す必要はありませんでした(★1)。 しかし、改正高年齢者雇用安定法(2013年4月)により「継続雇用」または「定年の引き上げ」「定年の廃止」といった人事制度の変更がなされてきています。(段階的に雇用継続年齢を引き上げ、2025年には65歳の雇用が義務づけられます) 対象となる高年齢者が、一定の年齢から「これまでとは異なる待遇(属託やパートのような)」や「これまでとは異なる勤務先(関連会社など)」で雇用を継続する場合も出てきました。 そこで、上記(★1)の「退職願」についてですが、これまでの勤務形態から定年後の継続雇用に移るということの証しとして「退職届」の形で書類を提出することを義務づけている企業もあるようです。 退職届の簡単なフォーマット(パソコン作成)については、別ページで解説しています。 |