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 このページでは、独特の音色が心に染みわたる「除夜の鐘」について説明しています。除夜の鐘とは、大晦日(12月31日)の深夜0時をはさんでつく鐘のことを言います(ちょうど日付けが変わり新しい年になる時を鐘をつきながら迎えます)。
 人には百八つの煩悩(ぼんのう)があると言われ、その煩悩を祓うために、除夜の鐘をつく回数は108回とされています。煩悩とは、人の心を惑わせたり、悩ませ苦しめたりする心のはたらきのことを言い、仏教における考え方からきています。
………このページの内容………
1. 除夜の鐘とは(除夜の鐘の歴史と由来・意味)
  ・煩悩とは(ぼんのうとは)
  ・除夜とは「除日」の夜のことをいいます
  ・解脱とは(げだつとは)
2. 除夜の鐘はいつつく?
3. 108つの煩悩の話…なぜ煩悩は108つあるといわれるのか
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1.除夜の鐘とは(除夜の鐘の由来・意味)

除夜の鐘とは
●除夜の鐘とは、大晦日(=おおみそか。12月31日)のちょうど日付けが変わり新しい年になる深夜0時をはさんでつく鐘のことを言います。
除夜の鐘の由来と意味

▲梵鐘の写真
(梵鐘=ぼんしょう と読みます)

除夜の鐘の由来
除夜の鐘をつく理由は、人の心にある煩悩を祓うためと言われています。
仏教では、人には百八つの煩悩(=ぼんのう)があると考えられてきました。その煩悩を祓うためにつく除夜の鐘の回数は108回とされています。
煩悩とは、人の心を惑わせたり、悩ませ苦しめたりする心のはたらきのことを言います。

●人の心の乱れ・汚れを煩悩とすると、代表的な煩悩には、
1.欲望
(肉体的および精神的なもの)、
2.怒り、
3.執着、
4.猜疑
などがあります。
更に煩悩を細かく分類すると、三毒とか、百八煩悩とか、八万四千煩悩など、分類のしかたにもさまざまなものがあります。

●筆者の中学生の時の担任のS先生は四苦八苦(4×9+8×9)という俗説を紹介して下さいましたが、まさに諸説紛々です。事務局でもいろいろと調べてみましたが、煩悩については諸説あり、具体的に108つの煩悩を挙げるよりも、百八という数は、「いわゆる沢山という意味」だと理解すればよいと考えています。
 ※108つの煩悩の話しへ>>
除夜の鐘の意味
●さて、鐘をつく回数が108回という理由については、煩悩の数が108つあるからだと述べましたが、それでは、なぜ大晦日に鐘をつくのでしょうか。108回鐘をうきさえすれば大晦日でなくても良いのでは…と思いませんか?

大晦日に鐘をつく理由も諸説あります。
このページは仏教について説明するのが目的ではないので簡単に紹介しますが、まず前提として、仏教では煩悩を祓うことにより解脱し、悟りを開くことができるとされています。

●本来は、日頃から仏教の修行を積むことによりこれらの煩悩(心の乱れ)を取り除き、解脱することができるのですが(悩みや苦しみや迷いから解放されて人間として究極の理想的な状態になる、あるいは悟りを開くことができるのですが)、除夜の鐘には厳しい修行を積んでいない我々においてもこうした心の乱れや汚れを祓う力があるという信仰が現在まで伝わり、除夜の鐘の儀式となって続いています。だから、普通の日ではなく、除夜、つまり大晦日に鐘を打つのですね。

●そもそも仏教寺院にある鐘は、梵鐘(ぼんしょう)と呼ばれるもので、仏具(仏教の儀式で用いる用具)のうちの重要な一つです。
 もともと仏教では、お正月には、お盆とならんで年に二回先祖を祀る儀式がありました。これが歴史を重ね時代を経るうちに「お正月は年神様(豊穣・豊作の神様)にその年の豊作を祈る」という神道の信仰へと移っていき、仏教の古い儀式としては夏のお盆のものだけが長く受け継がれています。
もともとあった仏教の風習のうち、正月に関しては、除夜に鐘をつく風習だけが今に残っているようです。

梵鐘の澄んだ音は、深夜の空気と相まって心にしみわたるような気がします。鐘を叩くことで私たちの魂が共鳴するような気持ちにさえなります。

●お寺の梵鐘はふだんは朝夕の時報として用いられるほか(童謡「夕焼けこやけ」の歌詞に出てくるのは、梵鐘が夕刻の時報として使われている例ですね)、法要の開始を知らせる際などにも用いられます。
 ただし、こうした用途だけでなく、鐘の音そのものには、苦しみや悩みを断ち切る力が宿っていると考えられており、仏教の大切な道具として除夜の鐘にも用いられます。上の鐘の画像では良くわかりませんが、鐘の銘の部分には梵鐘の力(=功徳)が記載されています。
鐘の回りに突起がありますが、これは「乳(ち)」と言われるもので、ほとんどの鐘についています。この乳の数も108つあるということです。

 
●なお、除夜とは、除日(じょじつ)の夜のことを言います。
「除」には、古いものを捨てて新しいものに移るという意味があります。
除日とは、一年の一番最後の日という意味を表し、大晦日(おおみそか)のことをさします。

●ちなみに、海外でも多数の国で新年を祝う祝賀が催されますが、欧米の大多数の国では人々が集まって音楽が奏でられ大規模に花火を打ち上げるようです。これらの国では仏教や神道とはかかわりが薄いせいかもしれません。ちなみに中国では旧正月を祝うため、日本のものとは異なるようです。
 日本の除夜の鐘だけが、静かに静かに静寂の中にしみわたるように響きます。戦時中は各地の寺社から鐘が供出されたため、除夜の鐘をつくことができないお寺もありました。除夜の鐘も平和の象徴の一つなのですね。

●筆者は大晦日には毎年除夜の鐘を聞きながら入浴します。バスタブに漬かり、その年にあったことを思い浮かべ、新しい年が佳い年であるように祈りつつ眼を閉じて祈ります。
静かな鐘の音と、浴室での瞑想……欧米のように大規模な花火を聞きながらでは、この精神状態にはなかなかなれません。まさに「鐘を叩けばその音で魂が共鳴する」という感じでしょうか。
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2.除夜の鐘はいつ撞く?
 (除夜の鐘は何時頃からつく?)

大晦日の鐘をつくタイミング

▲除夜の鐘の写真

●除夜の鐘と言えば、大晦日(12月31日)の深夜24時(元旦の零時)の前後に耳にしますが、本来は、鐘をつくタイミングにも決まりがあるのだそうです。

●107回目までは前年のうちに撞いて、最後の一回は新年になってからつく(深夜0時に最後の一回をつく)のが正式なつき方だそうです。
 百八つの煩悩をすべてきれいに祓って新しい年を迎えるということなのでしょう。きちんと24時に終了するという寺院では、鐘のつき始めを早めに設定し、22:40頃から開始される場合もあります。

●大半の寺院は無料で除夜の鐘をつくことができますが、有名な寺院では、整理券を配布するところや、有料で鐘をつくかわりに、参拝者に破魔矢や甘酒や福豆がふるまわれることもあります。
●希望者が多数の場合には108回以上つく寺院もありますが、先着順に受付をし、きっちり108回になったら終わりという寺院もあります。
 時間ギリギリに行かれる方は、全員が鐘をつくことができるかどうか、早めに確認することをおすすめします。

●日本三大鐘楼とされているのは、京都方広寺、京都知恩院、奈良東大寺だそうです。テレビのゆく○くる○などでも紹介されてきました。ちなみに三名鐘というと、また違う三つの寺の鐘の名前があがるそうです(「平等院」「三井寺」「神護寺」だそうです)。
鐘の音で選んだり、鐘の姿の美しさで選んだり、鐘の大きさで選んだり…これも諸説あります。
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3.108つの煩悩の話

なぜ煩悩の数は108と言われるのか?
●除夜の鐘は108回うちならすとされています。この108という数字については諸説あるので、筆者は108という数は『沢山』という意味だと思っています。しかし、サイトをご覧になった方からご要望が沢山寄せられるので、一番わかりやすいと思った説を一つご紹介します。
人間が持つ欲望や心の汚れは、すべて6つの感覚器官からもたらされ、それらが感じとる感覚からくる36個の煩悩に、前世、今世、来世の3つの時間軸をかけて108つあるという考え方です。
下記の表にわかりやすくまとめましたのでご覧下さい。
まずは表中で使われている仏語のうち、難しい語についてあらかじめ少しだけ説明します。
六根
(ろっこん)
人間が持つ感覚器官
感覚や意識を生じさせ、それによって人に迷いを起こさせる原因となる6つの器官のこと。
眼(げん)、耳(に)、舌、鼻、身、意とされる。
六境
(ろっきょう)
人間が感覚によって識別できる対象
上記六根で識別する六識の対象となる6つの境界。六塵(ろくじん)とも言う。
色境、声境、味境、香境、触境、法境とされる。
●除夜の鐘はそれをつくことで、これらの108つの煩悩を打ち払うとされています。
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108つの煩悩の内訳(諸説あるうちのひとつ)
××× 108
× × ×

人間が持つ感覚器官 人間が識別できる対象   状態や感じ
  状態や感じ
  時間軸
六根 六境または六塵 三世
●眼
(視覚)
× 不苦 ×
(じょう)
=きよい。きれい
× 前世
●耳
(聴覚)
 
(こう)
=気持ちが良い
●舌
(味覚)
不楽 今世
●鼻
(嗅覚)
 
(あく)
=気持ちが悪い

(せん)
=きたない
●身
(触覚)
苦楽 来世
●意  
(へい)
=どちらでもない
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