正しい敬語の使い方 敬語の変換の仕方》尊敬語・謙譲語・丁寧語一覧

敬語の使い方、敬語のページ。相手を敬う気持ちを表わす言葉として敬語があります。敬語はふだんの会話や電話だけでなく、手紙や文書においても一般常識として必ず必要なものです。このぺージでは基本となる尊敬語、謙譲語、丁寧語をはじめ、二重敬語の知識、さらに敬語の中でも特にビジネスシーンで良く用いられる語句や言い回し、敬語を盛り込んだ自己紹介の文例・例文をご紹介します。

1.敬語の種類

敬語は、相手と語り手(書き手)との関係に応じて使い分けされます。

敬語には尊敬語、謙譲語、丁寧語の3種類があるとされています。
近年では、これらの3種類をさらに分けて5種類に分類する指針が文化庁から出されています(下記の5種類は文化庁のホームページ「敬語の指針」より抜粋)。
まずは敬語の種類をご覧ください。
敬語の種類一覧表

3種類の場合

5種類の場合

1.尊敬語尊敬語
その人自身や、その人の行動、その人の所有物や、その人がおかれている環境などを高めて表現することにより、その人に対する敬意を表わす。「いらっしゃる・おっしゃる」型その動作をする人が、語り手(書き手)よりも上の場合に用いる
2.謙譲語
自分や、自分の行動、自分の所有物や、自分がおかれている環境などをへりくだって表現することにより、相手に対する敬意を表わす。謙譲語I
「伺う・申し上げる」型その動作をする人よりも、その動作を受ける相手が上の場合に用いる
謙譲語 II (丁重語)
「参る・申す」 型その話の聞き手(読み手)が、語り手(書き手)よりも上の場合に用いる
3.丁寧語
「お」「ご」などの接頭語をつけたり、「です」「ます」をつけたりすることで、丁寧な表現をすることで相手への敬意を表わす。丁寧語
「です・ます」 型その話の聞き手(読み手)が、語り手(書き手)よりも上の場合に用いる語尾。
美化語
「お酒・お料理」型上品で丁寧になるとされる言葉遣い

2. 敬語に変換する(尊敬語、謙譲語に言い換える)

上記では、敬語の種類についてご説明いたしました。
ここからは、実際にふだん使用する言葉を敬語に言い換えてみます。
敬語の使い方や言葉遣いの参考になさって下さい。
[1]敬語に変換する場合の例
敬語への変換例一覧(尊敬語
1.尊敬語
品詞敬語の使い方の例
動詞
 「お◯◯になる」
「お◯◯だ」の形
飛行機にお乗りになる。飛行機にお乗りだ。

花束をお持ちになる。 花束をお持ちだ。

飛行機にお乗りになりますか?飛行機にお乗りですか?

花束をお持ちになりますか?花束をお持ちですか?
「〜れる」 「〜られる」
「〜なさる」 の形
飛行機に乗られる。花束を持たれる。乗馬をなさる。
言葉自体を言い換える言う→おっしゃる。
見る→ご覧になる。
知っている→ご存じである。ご存じだ。
形容動詞・形容詞
 「お」「ご」をつける美しい→お美しい。 優しい→お優しい
所望→ご所望。多忙→ご多忙
名詞
 a.「お」「ご」をつける。
b.「貴」「御」「高」などをつける。
先生のお車。先生のご実家。

b.の例は、上の[3]で詳しく説明しています。
敬語への変換例一覧(謙譲語
品詞敬語の使い方の例
2.謙譲語
動詞
 「お◯◯する」
「ご◯◯する」の形

社長をお送りする。
社長を車にお乗せする。
社長をお招きする。
社長をご案内する。

先生にお知らせする。
先生にお見せする。
先生にご報告する。
先生にご挨拶する。

「お◯◯いただく」
「ご◯◯いただく」の形
先生にお読み頂く。先生にご来館いただく。
「お◯◯申し上げる」
「ご◯◯申し上げる」の形
社長をお待ち申し上げる。先生をご案内申し上げる。授受をご遠慮申し上げる。
言葉自体を言い換える言う→申し上げる。
見る→拝見する。
知る→存じ上げる。
名詞
 「粗」「拙」「弊」「愚」
などをつける。
粗品、粗茶、
拙宅、拙著、
弊社、弊誌
愚兄、愚妻ほか。

この例は、下の[3]で詳しく説明しています。
敬語への変換例一覧(丁寧語
品詞敬語の使い方の例
3.丁寧語
動詞、 形容詞、 形容動詞など
 「〜です」「〜ます」
「〜でした」「〜ました」
「〜でございます」
「〜うございます」
「〜でしょう」「〜ません」
これは制服です。
これは制服でした。
これは制服でございます。
恐ろしゅうございます。
恐ろしいでしょう。
乗りました。乗りません。など。
[2]自分が所属するものと、相手が所属するものに対する表現の例
・相手や相手の所有物を敬う表現の時には、「貴」「御」などをつける場合が多く、 自分や自分の所有物をへりくだって使う表現のときには、「小」「拙」「弊」などをつけます。
もとになる言葉尊敬語に変換した例ふつうの
表現
謙譲語に変換した例ふつうの
表現
会社貴社、御社あなたの会社弊社、小社私の会社、当社
貴邸、尊邸あなたの家小宅、拙宅、弊家(へいか)、弊屋(へいおく)私の家、自宅
※従来無かった言葉としては(新語と言えるかどうかはわかりませんが)、相手のホームページをあらわす言葉として「貴サイト」「貴ホームページ」などという表現を用います。メールでのやりとりや、打ち合わせや書面などで使用してみて下さい。
[3]相手を敬って使用する表現の例


弊社、小社(自分の会社をへりくだっていう時に用いる)
弊紙、小紙面(自分の会社の新聞をへりくだっていう時に用いる)
弊誌、小誌(自分の会社の雑誌をへりくだっていう時に用いる)
弊店(自分の店をへりくだっていう時に用いる)
弊家(自分の家をへりくだっていう時に用いる)
弊屋(自分の家をへりくだっていう時に用いる)
弊国(自分の国をへりくだっていう時に用いる)
拙意(自分の気持ちや意見のことを、へりくだってあらわす時に用いる)
拙策(自分のとった策や立てた計画を、へりくだっていう時に用いる)
拙家、拙宅(自分の家をへりくだっていう時に用いる)
拙歌(自分が作った歌のことを、へりくだってあらわす時に用いる)
拙句(自分が作った俳句のことを、へりくだってあらわす時に用いる)
拙稿(自分が作った原稿のことを、へりくだってあらわす時に用いる)
拙著(自分が書いた著作、書物のことを、へりくだってあらわす時に用いる)
拙作(自分が作った作品のことを、へりくだってあらわす時に用いる)
拙筆(自分が書いた文字や文章を、へりくだってあらわす時に用いる)
拙文(自分が書いた文章を、へりくだってあらわす時に用いる)
拙詠(自分の詩歌のことを、へりくだってあらわす時に用いる)
拙吟(自分の詩歌や吟声のことを、へりくだってあらわす時に用いる)
拙技(自分の技や芸を、へりくだっていう時に用いる)
拙訳(自分がした翻訳を、へりくだっていう時に用いる)
拙妻(自分の妻のことを、へりくだっていう時に用いる)
拙生(自分のことを、へりくだっていう時に用いる。主に手紙で用いられる)
拙僧(僧が自分のことをへりくだっていう時に用いる)
拙老(老人が自分のことをへりくだっていう時に用いる)
貴意(相手の気持ちや意見のことを、敬ってあらわす時に用いる)
貴命(相手の命令のことを、敬ってあらわす時に用いる)
貴慮(相手の気持ちや考えのことを、敬ってあらわす時に用いる)
貴覧(相手が見ることを、敬ってあらわす時に用いる。御覧、高覧)
貴家(相手を敬う気持ちを表わし、その相手の家についていう時に用いる)
貴宅(相手を敬う気持ちを表わし、その相手の家についていう時に用いる)
貴所(相手を敬う気持ちを表わし、その相手の居所についていう時に用いる)
貴地(相手を敬う気持ちを表わし、その相手の居住地についていう時に用いる)
貴簡、貴札(きさつ)、貴翰(きかん)……相手を敬う気持ちを表わし、その相手の手紙についていう時に用いる
貴報……相手を敬う気持ちを表わし、その相手の報告や手紙についていう時に用いる
貴著(きちょ)……相手を敬う気持ちを表わし、その相手の著書についていう時に用いる
貴酬(きしゅう)……相手を敬って、その相手に出す返事の手紙をいう
貴会(相手の会のことを、敬ってあらわす時に用いる)
貴社(相手を敬い、相手の会社のことを敬ってあらわす時に用いる)
貴店(相手を敬い、相手の店のことを敬ってあらわす時に用いる)
貴局(相手が属する局(水道局、郵便局など)のことを、敬ってあらわす時に用いる)
貴行(相手の銀行のことを、敬ってあらわす時に用いる)
貴校(相手の学校のことを、敬ってあらわす時に用いる)
貴国、貴邦(相手の国のことを、敬ってあらわす時に用いる)
貴名(相手の名前のことを、敬ってあらわす時に用いる)
貴女(手紙などで、相手の女性に対する敬意を表わす)
貴嬢(相手のが未婚の女性の場合に、相手に対する敬意を表わす)
貴僧(相手の僧に対する敬意を表わす)
貴息(相手を敬う気持ちを表わし、相手の息子、子息に対する敬意を表わす)
貴弟(相手を敬う気持ちを表わし、相手の息子、子息に対する敬意を表わす)
[4]一人称(わたし、ぼくなど)、二人称(あなたなど)を敬語に言い換えた例
文化庁の国語審議会「敬語に関する議論」では、ホームページの中で
これからは自分をさす言葉は「わたし」を標準とし、「わたくし」は改まった場合の用語とすると書いています。
また、相手をさす言葉として、下記のような言葉もありますが、これからは「あなた」を標準の用語とする、と書いています。

↓下記は知識として読んで下さい。
「あなた」を 尊敬語に変換した例「わたし」を謙譲語に変換した例
貴嬢…相手が未婚女性のときに相手を敬って用いる

貴女…手紙文中で、相手の女性に対する敬意を表わす

貴辺(きへん)…相手を敬って呼ぶ語
下名(かめい)…自分をへりくだっていう語
拙子(せっし)…男子が自分をへりくだっていう語
拙老(せつろう)…老人が自分のことをへりくだっていう語

小生(しょうせい)、愚生(ぐせい)、拙生(せっせい)…主に手紙で用いる。男性が自分をへりくだるときに使う。)
[その他の説明]

貴殿…男性が、対等または目上の人に対して用いる。もとは相手への敬称として用いられていたが、現在は同輩に親愛の気持ちを表わす言葉としても、用いられるようになっているので注意が必要

貴公…男性が、対等または目下の人に対して用いる。もとは相手への敬称として用いられていたが、現在は対等または目下の人に用いるので注意が必要

貴兄…主に手紙で用いる。同輩または先輩に対して用いる。

貴君…主に手紙で用いる。 男性が、対等または目下の人に対して用いる。

貴方(きほう)…主に手紙で用いる。男性が、同等の人に対して用いる。
[その他の説明]

※わたくし…謙譲語というよりも、丁寧語の概念に近い。
目上の人に対して、または改まった場合に用いる。

3 二重敬語について

丁寧な敬語を使おうとするあまりに、つい誤った用法をしてしまう例としてあげられるのが「二重敬語」です。
具体的な例をあげてご説明いたします。

誤った二重敬語の例

×
お立ちになられる
「立つ」→「立たれる」と、「お〜になる」を二重に使用しています。
◯「お立ちになる」、◯「立たれる」
×
お帰りになられる
「帰る」→「帰られる」と、「お〜になる」を二重に使用しています。
◯「お帰りになる」、◯「帰られる」
×
ご希望になられる
「希望する」→「希望される」と、「ご〜になる」を二重に使用しています。
◯「ご希望になる」、◯「希望される」
×
ご覧になられる
「見る」→「ご覧になる」と、「〜られる」を二重に使用しています。
◯「ご覧になる」

定着している二重敬語の例
これらは、習慣または慣例として定着しているため、
使用しても良いと考えられています(許容されています)。

お召し上がりになる 「食べる」→「召し上がる」と、「お〜になる」を二重に使用しています。
お召し上がり下さい 「食べる」→「召し上がる」と、「お〜下さい」を二重に使用しています。
お伺いする 「聞く」→「伺う」と、「お」をつける、を二重に使用しています。

二重敬語ではなく、敬語連結の例
これらは、2つの言葉を「て」を介して連結しているため、
使用しても良いと考えられています(許容されています)。

お書きになっていらっしゃる 「書く」と、「いる」をそれぞれ別々に尊敬語にしています。
ご説明申し上げる 「説明」と「言う」をそれぞれ別々に謙譲語にしています。

4. 敬語を使用した自己紹介の文例・例文・例

実際に敬語を使用した、自己紹介の文例をご紹介します。文中の尊敬語、謙譲語、丁寧語を探し、見つけてみてください。
架空の人物について作成しています。ご了承ください。
自己紹介の文例

敬語を使用した言い方

→ 普通の言い方に言い換えると

私の名前は、佐藤春樹と申します。私の名前は佐藤春樹です(私の名前は佐藤春樹だ)
本日はこのような機会をお与え頂きまして、ありがとうございます本日はこのような機会を与えてくれて、ありがとう。
わたしの座右の銘は「時間はどんな人間にも平等である」です。わたしの座右の銘は「時間はどんな人間にも平等である」である。
この言葉は、高三の時の恩師が私に授けて下さったものです。この言葉は、高三の時の恩師が私に授けてくれたものだ。
限られた時間を遊んで過ごすのも勤勉に過ごすのも本人の自由ですが、わたしにはぜひとも貴社で実現したい夢があります限られた時間を遊んで過ごすのも勤勉に過ごすのも本人の自由だが、わたしにはぜひともあなたの会社で実現したい夢がある。
◯◯の技術を活かした◯◯◯を作るのが、小さい頃からの夢でした。そのために□□と◇◇を学び、◯◯◯の資格を取得するために、現在試験勉強をしています◯◯の技術を活かした◯◯◯を作るのが、小さい頃からの夢だった。そのために□□と◇◇を学び、◯◯◯の資格を取得するために、現在試験勉強をしている。
もし、私を採用して頂けるなら。この◯◯◯を活かし、必ずや貴社お役に立つ所存でございます。もし、私を採用してもらえるなら。この◯◯◯を活かし、必ずやあなたの会社の役に立つつもりだ。
どうかぜひ、私にチャンスをお与え下さい。よろしくお願い申し上げますどうかぜひ、私にチャンス与えてほしい。よろしくお願いする。
注1)「お与え頂きまして」は、「与える」「頂く」が合わさった形です。
もし気になるようでしたら、他の言い方としては「与えて下さいまして」という表現も可能です。
同様に「お与え下さい」は、「与えて下さい」という表現も可能です。

注2)「夢があります」は、「夢がございます」という表現も可能です。